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犬の糖尿病の症状とは?原因と治療法、予防方法も解説

犬の糖尿病の症状とは?原因と治療法、予防方法も解説

 犬も人間と同じように、血糖値が上昇する病気である「糖尿病」をわずらうことがあります。人間が糖尿病になった場合は食事療法や薬物療法によって治療を行いますが、犬が糖尿病になった場合にはどのように治療するのでしょうか。

 また、原因や予防方法についても理解し、高額な医療費を支払って心配な日々を送ることがないよう、日頃から生活や食事に気をつけておきたいところです。

 この記事では、犬が糖尿病になった際の症状原因のほか、治療法予防方法について解説します。
ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。2019年7月、ガイア動物病院開設、院長となる。

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

mokuji目次

  1. 犬もインスリンの分泌不足により高血糖が続く糖尿病になる
  2. 犬の糖尿病の症状
    1. 多飲や多尿
    2. 毛艶の悪化
    3. 食欲の増加と体重の減少
  3. 犬の糖尿病の原因
    1. 遺伝
    2. 加齢
    3. 黄体ホルモン分泌
    4. 肥満
  4. 犬の糖尿病の治療法
    1. インスリン療法
    2. 食事療法
    3. 輸液治療
  5. 犬の糖尿病の合併症
  6. 犬の糖尿病の予防方法
    1. メスの避妊手術
    2. 適度な運動
    3. 適切な食事
  7. 犬の高額な医療費に備えて、ペット保険の加入がおすすめ

犬もインスリンの分泌不足により高血糖が続く糖尿病になる

 犬の糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気で、放置するとさまざま合併症を引き起こす危険性があります。

 主な原因は、すい臓のβ細胞が破壊されて「インスリン」というホルモンが生成できない状態になることで、インスリンの投与が必要となります

 インスリンが不足すると、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むことができないため、血液中の糖分が高い数値が出るのです。この状態が長期間続くと、腎不全や白内障などの合併症を引き起こします。

 なお、糖尿病は「I型糖尿病」と「II型糖尿病」の2種類に大別されますが、犬の場合はほとんどがインスリン不足によるI型糖尿病です。一方のII型糖尿病は、肥満や生活環境によってインスリンが効きにくくなる「抵抗性」が主な原因ですが、犬でII型が発症するのはまれといえます。

犬の糖尿病の症状

 犬の糖尿病は初期症状がわかりにくいため、飼い主が様子を注意深く観察し、早期に気づく必要があります。ここでは、犬の糖尿病の症状について解説します。

多飲や多尿

 糖尿病の一般的な症状は、多飲多尿です。犬が普段よりも多くの水を飲み、頻繁に排尿するようになった場合は、糖尿病を疑うべきでしょう。

 これは、細胞に取り込めない糖が大量の水分と共に尿として排出され、脱水状態にあることを意味します。そのため、水をよく飲むようになるのです。

毛艶の悪化

 糖尿病が進行すると、犬の毛艶が悪くなることも症状として挙げられます。

 これは、栄養不足や体内の代謝異常が原因で、皮膚や被毛の健康状態が悪くなるからです。毛が薄くなったり、皮膚が乾燥したりすることがあるので注意が必要です。

食欲の増加と体重の減少

 食欲の増加も、犬の糖尿病で見られる症状のひとつです。糖尿病による細胞の栄養不足を補うために犬が異常に食欲を示し、よく食べるようになります。しかし、食欲が増加する一方、糖を細胞に取り込めないために体重が減り、やせてしまう傾向があります。

 なお、糖尿病が進行すると、血液中に有害なケトン体が増え、「糖尿病性ケトアシドーシスDKA)」という危険な状態になることも。DKAになると犬は脱水や下痢、嘔吐などの症状を示します。合併症の発症リスクのほか、放置すると生命に関わるため、直ちに動物病院で緊急の医療処置を施してください

犬の糖尿病の原因

 犬の糖尿病は、さまざまな要因によって引き起こされます。ここでは、犬の糖尿病の原因について解説します。

遺伝

 犬の糖尿病には、遺伝的な要因が大きく関わっています。例えば、トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンド、ゴールデン・レトリーバーなどの犬種は、ほかの犬種よりも糖尿病になりやすい傾向があります。また、糖尿病はオスよりもメスの犬のほうが、約2〜3倍も発症しやすいといわれています。

加齢

 加齢は、犬の糖尿病のリスク要因のひとつです。7歳以上の中齢犬〜高齢犬は、糖尿病にかかりやすい傾向があります。これは加齢に伴いインスリンの分泌が低下し、代謝機能が衰えるのが理由です。

黄体ホルモン分泌

 避妊手術をしていなかったり、発情・妊娠していたりするメスの犬が、女性ホルモンの「プロゲステロン」によってインスリンの働きが弱くなることで、II型糖尿病を引き起こす場合があります。

肥満

 肥満も犬の糖尿病の一因とされています。炭水化物や脂肪などが多めの食事をたくさんとり、なおかつ運動不足であれば、人間と同じように肥満になりやすいといえるでしょう。

犬の糖尿病の治療法

 愛犬が糖尿病にかかった場合は、適切な治療を行って病気と付き合っていく必要があります。ここでは、犬の糖尿病の治療法について解説します。

インスリン療法

 インスリン療法は、犬の糖尿病治療において一般的な治療法です。

 犬の体内で十分なインスリンを生成できない場合、外部からインスリンを注射して投与することで、血糖値を適切にコントロールします。インスリン注射は、獣医の指導のもとで、通常1日につき1回または2回行われます。

食事療法

 食事療法は、犬の糖尿病が軽度な場合に用いられる治療法です。低糖質で高繊維の食事が推奨されます。このような食事は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、コントロールしやすくするものです。また、食事時間と食事量の管理も重要といえます。

輸液治療

 重度の糖尿病糖尿病性ケトアシドーシスDKA)の状態の場合、輸液治療が求められる可能性があります。

 輸液治療は、脱水状態の犬に対して輸液を補給し、体内の水分と電解質のバランスを整える治療法です。DKAのような緊急状態では、迅速な輸液治療が犬の生命を救うために不可欠といえるでしょう。

犬の糖尿病の合併症

犬の糖尿病の合併症

 犬が糖尿病になって進行すると、いくつかの合併症を併発します。具体的には下記のとおりです。

犬の糖尿病の合併症
・白内障
・感染症
・膀胱炎
・腎不全
・心筋梗塞
・再発性皮膚炎
 中でも白内障は特になりやすく、急速に悪化しやすいので注意が必要です。さらに症状が悪化すると、危険な糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こしかねないため、早めの動物病院での診療をおすすめします

●関連記事:
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犬の腎臓病の原因は?症状と治療法、注意すべき点を解説

犬の糖尿病の予防方法

 犬の糖尿病を予防するためには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。最後に、犬の糖尿病の主な予防方法を紹介します。

メスの避妊手術

 メスの犬に避妊手術を行うことは、糖尿病の予防に効果的といえます。避妊手術はホルモンバランスを安定させ、糖尿病のリスクを減少させることができるからです。特に、ホルモン分泌の影響で糖尿病になりやすい犬種にとって、避妊手術は非常に有効といえます。

 ただし、避妊手術後はカロリー過多で肥満になりやすくなるので、体重管理には注意が必要です。

適度な運動

 適度な運動は、犬の健康維持と糖尿病予防に欠かせません。定期的な運動は、ブドウ糖の細胞への取り込みと、インスリンの効果を高める効果があります。

 毎日の散歩など、犬種や年齢に応じて適切な運動量を確保して肥満を防ぐことができれば、糖尿病のリスクを軽減できるでしょう。

適切な食事

 適切な食事も、糖尿病予防には不可欠です。栄養バランスのとれた食事を与えることで、血糖値の上昇や肥満を防ぐことができます。

犬の高額な医療費に備えて、ペット保険の加入がおすすめ

 犬は、人間と同じように糖尿病になる生き物です。治療のためにインスリンの投与を行ったり、食事を改善したりして付き合っていく必要がありますが、場合によっては人工透析が必要になることも。その際には、対応できる医療機関も限られ、医療費も高額になるので注意と備えが必要です。

 犬の高額な医療費負担に備えておすすめしたいのがペット保険です。ペット保険は、通院・入院・手術の3つが主な補償対象で、健康診断や予防接種などの病気の予防に関わる行為や、避妊・去勢手術は補償対象外になりますが、ケガや病気の治療費について幅広く補償してくれます。

 ペット保険は保険会社やプランによって補償内容や保険料が大きく変わるため、大切なペットが十分な治療を受けられるよう、複数の保険会社でそれぞれのプランを比較検討して、ご自身とペットに合った保険を選びましょう。

 オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。

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ガイア動物病院 院長 松田唯

監修者 ガイア動物病院 院長 松田唯

埼玉県生まれ。北里大学獣医畜産学部卒業後、千葉県内と東京都内の動物病院で勤務。
2019年7月、ガイア動物病院(東京都杉並区)開設、院長となる。大学時代は医療の専門用語が苦手だったこともあり、治療法や薬について分かりやすく説明し、治療法のメリット・デメリットを理解して飼い主さまが選択できる診療を心掛けるようにしています。
 ●ガイア動物病院(外部リンク)

※監修は医療情報についてのみであり、ペット保険への加入を推奨するものではありません。

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