史

漢字

史

部首: 口口 + 2 画
総画: 5画5
異体字 : 史󠄁（旧字体）
筆順 :

字源

会意。史官を象徴するある種の道具を手に持ったさまを象る（具体的な由来は明らかではなく、さまざまな説があるが定説はない）^{[字源 1]}。「書記」を意味する漢語｛史 /*srəʔ/｝を表す字。もと「吏」「事」と同一字。
- 『説文解字』では「中」+「又」と分析されているが、これは誤った分析である。甲骨文字の形を見ればわかるように「中」とは関係がない。

甲骨文字	金文	小篆	流伝の古文字

殷	西周	《説文》（漢）	《六書通》（明）

↑ 林志強等評注『《文源》評注』中国社会科学出版社、2017年、279頁。
葛亮「古字新識（23）――説“中”“外”」『書与画』2021年11期、49頁。

意義

ふひと/ふびと。
- a. 記録を記す役人。
- b. 天使の言行を記録する官。
- c. 国の記録を司る役人。
ふみ。
- a. 記録。
- b. 歴史。
- c. 歴史書^(wp)。
文章に携わる人。文章家。
- 「女史」
あや。飾りがあって派手やかで美しい。
- 「子曰、質勝文則野、勝質文則史、文質彬彬、然後君子」（書き下し文：子曰く、質、文に勝てば則ち野^（や）。文、質に勝てば則ち史^（し）。文質彬彬^{（ぶんしつひんぴん）}として然る後に君子なり）（『論語^(wp)』雍也第六）
四部分類^(wp)のうち、史部^{（しぶ、ふひとべ）}のこと。

日本語

発音

音読み
- 呉音 : シ
- 漢音 : シ
訓読み
- 常用漢字表内
  常用漢字表内の訓読みはありません。
- 常用漢字表外
  ふひと/ふびと、さかん、ひと、ひさ、のぶ、なか、とし、ちか、こ、お、あや、ふみ、あきらひろ

名詞

（シ）
- a. 記録。
- b. 歴史。
- c. 歴史書^(wp)。
（シ）　文章に携わる人。文章家。
- 「女史」
（さかん）　律令国家・日本の四等官制^(wp)における、神祇官^(wp)の第四等官。

接尾辞

名詞の語義1b（歴史）を意する造語成分。
- 例えば、「世界史」は「世界の歴史^(wp)」と、「日本史」は「日本の歴史^(wp)」と同義。家族史^(wp)（一つの家族の歴史）、自分史（^(wp)自分の歴史）、社史（^(wp)「社」の歴史。一つには神社の歴史、今一つには結社の歴史）、服飾史（服飾の歴史）、宗教史（宗教の歴史）、戦史（^(wp)戦争の歴史）、犯罪史（犯罪の歴史）、メディア史（メディアの歴史）などといった熟語を作る。「w:Category:テーマ史」も参照のこと。
時間的経過の叙述語を作る造語成分。
- 例えば、生活史^(wp)（一つには、生物個体^(wp)の発生から死までの全生活過程、今一つには、人間社会における個人の生涯の叙述）などといった熟語を作る。
- 例えば、進化史（生物進化の歴史）、宇宙の進化史（宇宙が変化・進化してきた、その歴史）、地球史（地球という天体とその上で起こってきた事物・物事の歴史）など、世界そのものの歴史。「人類の進化史」といった場合、主題である「人類」は「人間（社会を形成する存在としての人）ではなく、「生物としてのヒト」であり、含意される「歴史」は本義のそれではない。

熟語

史（シ）―

史科（しか）
史家（しか）
史学（しがく）
史官（しかん）
史観（しかん）
史漢（しかん）
- 左国史漢
史館（しかん）
史記（しき）
史局（しきょく）
史劇（しげき）
史庫（しこ）
史策（しさく）
史冊（しさつ）
史氏（しし）
史詩（しし）
史実（しじつ）
史思明^(wp)
史書（ししょ）
史生（ししょう、しじょう）
史上（しじょう）
史乗（しじょう）
史職（ししょく）
史臣（ししん）
史籍（しせき）
史跡/史蹟（しせき）
史遷（しせん）：司馬遷^(wp)
史前（しぜん）
史談（しだん）
史潮（しちょう）
史通（しつう）
史的（してき）
- 史的現在
史伝（しでん）
史都（しと）
史の大夫（しのたいふ）
史筆（しひつ）
史部（しぶ）
史要（しよう）
史略（しりゃく）
史料（しりょう）
史林（しりん）
史論（しろん）
史話（しわ）

―史（シ）

哀史（あいし）
逸史（いっし）
詠史（えいし）
繹史（えきし）
家史（かし）
外史（がいし）
旧史（きゅうし）
球史（きゅうし）
御史（ぎょし）
漁史（ぎょし）
経史（けいし）
外史（げし）
国史（こくし）
古史（こし）
語史/語誌/語志（ごし）
左史（さし）
三史（さんし）
散史/散士（さんし）
刺史（しし）
紫史（しし）：源氏物語^(wp)。
詩史（しし）
侍史（じし）
修史（しゅうし）
情史（じょうし）
小史（しょうし）
少史（しょうし）
書史（しょし）
女史（じょし）
新史（しんし）
正史（せいし）
青史（せいし）
先史（せんし）
- 先史時代
前史（ぜんし）
太史/大史（たいし）
通史（つうし）
読史（どくし）
テーマ史
内史（ないし）
稗史（はいし）
八史（はっし）
秘史（ひし）
悲史（ひし）
巫史（ふし）
編年史（へんねんし）
問題史（もんだいし）
野史（やし）
右史（ゆうし）
有史（ゆうし）
- 有史時代
裏面史（りめんし）
略史（りゃくし）
令史（れいし）
歴史（れきし）

史（ふひと、ふびと）

史部（ふひとべ）

史（ふみ、ぶみ）

文史/伝記（しるしぶみ）

代表的テーマ史

成句

史に三長あり

中国語

史 *

ローマ字表記
- 普通話
  - ピンイン: shǐ (shi3)
  - ウェード式: shih³
- 広東語
  - イェール式: si2
- 閩南語
  - POJ: sú, sái
- 客家語
  - 白話字: sṳ́
- 閩東語
  - 平話字: sṳ̄
- 呉語
  - ピンイン: sy2
- 中古音: *sriX
- 上古音: *s-rəʔ

人名

中国人の姓の一つ、百家姓第63位。

朝鮮語

史 *

ハングル: 사
- 文化観光部2000年式: sa
- マッキューン＝ライシャワー式: sa
- イェール式: sa

名詞

（新羅・高麗の官職）史。

人名

朝鮮人の姓の一つ。

ベトナム語

史 *

ローマ字表記
- チュ・クォック・グー: sử

名詞

歴史。

コード等

Unicode
- 16進: 53F2 史
- 10進: 21490 史
JIS X 0208(-1978,1983,1990)
- JIS
  - 16進：3B4B
- Shift JIS
  - 16進：8E6A
- 区点：1面27区43点
四角号碼 : 5000₆
倉頡入力法 : 中大 (LK)

点字

漢点字 :
六点漢字 :

[1] 林志強等評注『《文源》評注』中国社会科学出版社、2017年、279頁。
葛亮「古字新識（23）――説“中”“外”」『書与画』2021年11期、49頁。

[字源 1]