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EIA-485

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

EIA-485は、2線式、半二重、マルチポイントシリアル接続を特徴とする、OSI参照モデルでいう所の物理層の電気的仕様である。規格案段階(recommended-Standards)のRS-485ないしRS485のEIA規格となったものである。

概要

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この規格は差動信号を採用している。2線間電圧の違いによってどんなデータを伝送するかを表現する。電圧の一方が「1」レベルであれば、もう一方は「0」レベルを示す。正しい信号であると認識されるには、少なくとも電圧の差は0.2V以上ないといけない。受信側は+12Vから-7Vまでの電圧であれば正しいものと認識する。

EIA-485はドライバとレシーバの電気的特性のみを定めたものである。データプロトコルについては規定も推奨もしていない。EIA-485を使えば安価なローカルネットワークやマルチドロップ通信網を構築できる。この規格は高速データ通信速度をうたっている(10 mまでは35 Mbit/s、1,200 mでは100 kbit/s)。EIA-485は(EIA-422のように)ツイストペアを用いた平衡型伝送路を採用しているため、比較的遠距離(4000フィートないし1,200 m以上)まで伸ばすことが可能である。

EIA-422はスイッチオフにできない一つのドライバ回路を持っていたが、それに対してEIA-485は、送信モードにするには、ドライバに信号を一々アサートする必要がある。このことにより、EIA-485はたった2線のみで線形トポロジを構築することができる。

推奨される網構成は、節(ノード)をポイントツーポイントで順に接続していくやり方で、線形及びバス形がある。星形やリング形、複数のネットワークをつなぐやり方ではない。理想的には、二つのケーブルの両端が2線をまたいだ抵抗で終端され、ラインがドライブされていない時には、2つの電圧のかかっている抵抗で両線が分離されることである。終端抵抗なしでは、高速なドライバのデータ信号のエッジが反射することで、複数のデータ信号のエッジが発生し、それがデータ信号の衝突を引き起こす。終端抵抗はまた、ラインにバイアス抵抗が必要になるがそのより低いインピーダンスのために、電気雑音に対する感度を減らす。それぞれの終端抵抗の値は、ケーブルインピーダンスの値と同じにしなければならない(通常ツイストペアでは120Ω)。バイアス抵抗なしだと、すべてのノードが黙っているないしは電源がオフのときは、信号は0に落ちてしまい、電気雑音をもっとも拾いやすくなる。星形またはリング形トポロジが推奨されないのは、信号反射及び終端インピーダンスが低すぎたり高すぎたりするためである。

EIA-485はEIA-422のように4線を使って全二重が実現できるが、EIA-485はマルチポイント接続を仕様としているので、多くの場合この機能は必要ない。EIA-485とEIA-422はこの制限つきで互換性がある。

歴史

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もともとは、アップルのマッキントッシュのフォーンネットとして開発されたネットワーク物理層の一実装形態である。マッキントッシュのシリアルポートRS-422だったが、アダプタを介することによってRS-485によるネットワークを構築する事が出来た。また、ARCnetも物理層としてこのRS-485を使用する事が多かった。

EIA-485の使用例

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  • 例えば、SCSI-2とSCSI-3の物理層の実装として、これを採用することを規定している。
  • EIA-485は、商業航空機の客席で低速データ通信のための共通UARTとしてしばしば用いられる。例えば、いくつかの航空機の制御ユニットはこれを使用している。EIA-485は最小限の配線しか必要としないので、複数のシート間で配線を共有できる。それゆえに全体重量を減らすことができる。
  • EIA-485はまた独自のデータ通信を行うためにプログラマブルロジックコントローラ内で時々使われ、工場のフロアに敷設されている(ModbusProfibusなど)。EIA-485が差動伝送のため、モーターや溶接機からの電磁気的影響に強い。
  • EIA-485は、専用のソフトウェアを走らせた普通のPCからハイエンドのサウンド処理設備を遠隔操作するために、音楽イベントやシアター製品で見られるような大規模サウンドシステムで使われている。
  • EIA-485はまた、リモートデバイスをつなげるために単純なバス配線と長いケーブル長が必要なビルオートメーションで使われている。
  • EIA-485はDMX512-Aとして知られているシアターやディスコの照明の制御にも使われている。

この規格は今はTIA-485-A,、「Electrical Characteristics of Generators and Receivers for Use in Balanced Digital Multipoint Systems (ANSI/TIA/EIA-485-A-98) (R2003)」という表題でTIAによって管理されている。この規格は2003年に技術的に変わらずに再確定されている。

コネクタ

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EIA-485はコネクタを規定していない。次の表にいくつかよく使われるRS-485の信号ピン配置を示す。なお、RS-232およびその他一般的なシリアルも比較のため併記する[1]

RS-485 signal RS-232 signal DB-25 DB-9 RJ-50
Common Ground Carrier Detect (DCD) 8 1 10
Clear To Send + (CTS+) Received Data (RD) 3 2 9
Ready To Send + (RTS+) Transmitted Data (TD) 2 3 8
Received Data + (RxD+) Data Terminal Ready (DTR) 20 4 7
Received Data - (RxD-) Common Ground 7 5 6
Clear To Send - (CTS-) Data Set Ready (DSR) 6 5
Ready To Send - (RTS-) Request To Send (RTS) 4 7 4
Transmitted Data + (TxD+) Clear To Send (CTS) 5 8 3
Transmitted Data - (TxD-) Ring Indicator (RI) 22 9 2
pin # RS-485 (RS-232D EIA/TIA-561)[2] RS-232 signal[3] RJ-45
ISDN [4] signal (T1/E1 Telco)[5] ?[6] Full Duplex Half Duplex
1 NC RX+ TX1+ DSR(RI) DTR TXD0 NC
2 RX- TX1- DCD TXD1
3 TX+ NC RX2+ DTR RTS NC
4 RX+ TX- bidi3+ signal ground RXD RXD1 (B)TX/RXD1
5 RX- TX+ bidi3- RXD CTS RXD0 (A)TX/RXD0
6 TX- NC RX2- TXD TXD NC
7 NC bidi4+ CTS Power(RI)
8 bidi4- RTS GND GND
9 GND N/A N/A

ピン名前付け

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RS485の差動信号線は2つのピンから構成されている。

  • '+'TxD+/RxD+と呼ばれており、ラインがアイドルのときはpositive (5V) である。
  • '-'TxD-/RxD-と呼ばれており、ラインがアイドルのときはnegative (0V) である。

2つのピンはしばしばAおよびBという文字がつけられるが、どちらがどちらか混同しやすい。

RS485信号仕様は、信号Aは反転、もしくは'-'ピンであり、信号Bは無反転、ないし'+'ピンと述べている。

Texas InstrumentsのRS422/485の通信アプリケーションハンドブックに(A=無反転、B=反転)と書かれているなど、多くの差動信号トランシーバ製造メーカーによって使われているA/Bの名前付けが逆になっている。これらのメーカーは正しくないが、実際には広く使われているため余計に混乱している。またすべてのNMEAデバイスでは、Aは'+'と等価でBは'-'と等価である。

波形例

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RS-232のバイトデータを送信する間のRS-485の'+'と'-'ピンの電圧を以下のグラフで示す。

関連項目

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外部リンク

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