[go: up one dir, main page]

コンテンツにスキップ

クロシン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クロシン
{{{画像alt1}}}
クロシンの構造式
識別情報
CAS登録番号 42553-65-1 チェック
KEGG C08589
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

クロシン(crocin)は、水溶性カロテノイド系の色素である。クロチンとも呼ばれる。

構造と性質

[編集]

カロチノイドは基本的に脂溶性の分子である。事実、クロシンのカロチノイドの部分であるクロセチンの部分は、比較的脂溶性が高い部分である。しかし、クロシンの場合は、水溶性の高い糖であるゲンチオビオースを、合計で2分子、エステル結合させているため、水溶性の性質を帯びている。クロシンの分子式は、C44H64O24だが[1]、この中で電気陰性度が高く極性を持ち易い酸素原子の大部分は、ゲンチオビオースの部分に集中している。この酸素が水からの水素結合を受容でき、さらに、水酸基は水への水素結合を供与できるために、水溶性が高まっている。

また、カロチノイドは一般に、分子内に共役系が伸びており、ヒトの可視光線の波長域を吸収する。クロシンの場合もクロセチンの部分が、そのような部分である。クロシンのメタノール溶液から再結晶させた、クロシン水和物の針状結晶は赤褐色を呈し、その常圧での融点は186 ℃である。また、クロシンは温水に溶け、橙色の水溶液を与える。

所在

[編集]

クロシンは天然に存在する化合物である。例えば、サフラン(アヤメ科)の雌しべ、クチナシ(アカネ科)の果実などに含まれる。

利用

[編集]

クロシンは食品の着色料として、古くから用いられてきた。

研究

[編集]

クロシンは、脳の機能や睡眠などに影響を与える[2][3]

出典

[編集]
  1. ^ Compound:C08589 クロシン(crosin)”. KEGG. 2021年8月31日閲覧。
  2. ^ Georgiadou, G.; Tarantilis, P.A.; Pitsikas, N. (2012). “Effects of the active constituents of Crocus Sativus L., crocins, in an animal model of obsessive–compulsive disorder.”. Neuroscience Letters 528: 27–30. 
  3. ^ Marjan Nassiri-Asl; Hossein Hosseinzadeh (2015). “Chapter 3 - Neuropharmacology Effects of Saffron (Crocus sativus) and Its Active Constituents.”. Bioactive Nutraceuticals and Dietary Supplements in Neurological and Brain Disease.: 29-39. 

参考文献

[編集]
  • Merck Index 14th ed., p.2589.

外部リンク

[編集]