ゆめ

古典日本語「ゆめ」 < 上代日本語「いめ」 < 「い」（寝） + 「め」（目）

• (東京式) ゆめ​ [yùméꜜ] (尾高型 – [2])
• IPA^(?): [jɯ̟ᵝme̞]
• (京阪式) ゆ​め

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ゆめ【夢・㝱】

1. 眠（ねむ）っている間に見（み）たり感じたりする、現実ではない出来事。
   • こんな悲（かな）しい話を、夢の中で母から聞いた。（夏目漱石『夢十夜』）
   • 夢か現か幻か。
2. 空想。夢想。白昼夢。ドリーム。
   • 少年の私は、父母にも替え難い利根川の水の源に憧れて、幾たび大刀寧岳の姿を、夢に描いたことであろう。（佐藤垢石『利根の尺鮎』）
3. 希望。願望。理想。
   • 今の医術はまだ極めて能力が低いのですが、本当の科学の進歩は病気をなくして不老不死の夢を実現するでしょう。（石原莞爾『最終戦争論』）
   • 父や母の夢は皆破れた。（高村光太郎『智恵子の半生』）
4. 理想的なもの。あこがれのもの。すばらしいもの。
   • それはあの日の夏のこと！/いつの日にか もう返らない夢のひととき（立原道造『萱草に寄す』）
   • 夢の新素材・カーボンナノチューブ
5. はかないもの。実現可能性に乏しいもの。実を結ばないもの。一時的に期待を持たせたにすぎないもの。
   • どうしたらかかる正しい美しさでこの世を広く潤すことができるか。それを実現し得る道筋を見出さねばなりません。それには美が量に交る必要がありましょう。ですがたくさんできるものが果して美と結び合うかどうか。そのことがまず以て明らかにされねばなりません。もし不可能なら吾々の希望は果敢（はか）ない夢に過ぎなくなるでしょう。（柳宗悦『美の国と民藝』）
   • 昨年の大ブームは夢だったのか。
   • 夢に終わった開発計画。
   • 夢と消える。夢と散る。夢のまた夢。

• 類義語: 夢想
• 対義語: うつつ
• 熟語: 正夢（まさゆめ）、初夢、夢現（ゆめうつつ）、夢見、夢枕、夢物語、夢見る、多重夢
• 成句: 一炊の夢、邯鄲の夢、夢のまた夢、夢にまで見た、夢にも思わない、夢か現か、夢か現か幻か、夢か誠か

ゆめ【努、勤、夢】

1. （陳述副詞、禁止の文で）決して、油断のないよう、ゆめゆめ。
   • 「あの機関のやり方はご存じでしょう。いかなる後ろ楯があろうとも、背後の警戒をゆめ怠るなかれ」（レックス・スタウト/大村美根子訳『死の招待』）
2. （陳述副詞、否定文「思わない」「考えない」などを導いて）まったく、少しも、ゆめにも。
   • こんなにも、あとかたなく、身にとどまらない才学とは、ゆめ、思わずに、ひとを衆愚と視、誇を高うしていたかれだろうに、おもかげもない。（吉川英治『新・平家物語』）

上代日本語「いめ」 < 「い」（寝） + 「め」（目）

ゆめ【夢】

1. （眠っている間に見る）夢。
2. 夢のようなこと。
3. 迷（まよ）い。悩（なや）み。

二拍名詞三類^(?)

• (平安時代)ゆめ
• (南北朝時代)ゆ​め
• (室町時代)ゆ​め
• (江戸時代)ゆ​め

ゆめ【努、勤】

1. （禁止・命令の文で）決して。絶対。
2. （打消を伴って）全（まった）く。