Unified Video Decoder
Unified Video Decoder (UVD)(以前はUniversal Video Decoderと呼ばれていた)はATI Technologiesの作成した動画のハードウェアデコーダーである。H.264とVC-1の2つのビデオコーデックをサポートしており、AVIVOテクノロジーの一部である。
サポートしているOS
[編集]- Windows - この技術の発表時からサポートしている。UVDは現在のところハードウェアアクセラレーションのためにWindowsとXbox 360プラットフォームにおけるDXVAというAPIのみをサポートしており、したがってメディアプレーヤーはUVDを用いるためにはDXVAをサポートする必要がある。
- Linux - 2008年10月からである。[1] RadeonのためにAMDによってデザインされたXvBAというAPIはLinuxとUNIXのX Window SystemにおけるX video extension (Xv)向けの拡張であり、これはUVDによるハードウェアアクセラレーションを利用できるようにする。[2]
- Linux - 2013年4月からである。[3] NVIDIAによるVDPAU (Video Decode and Presentation API for Unix)経由でのオープンソースなUVDサポートが提供された。これは既存のMesa上のVDPAUステートトラッカーをベースにしている。
機能
[編集]UVD/UVD+
[編集]UVDはATIのXilleon動画プロセッサーに由来するもので、GPUと同じダイに組み込まれており、Advanced Video Processor (AVP)も同様に組み込まれている。AMDによれば、UVDはH.264/AVCとVC-1のデコードを完全にハードウェア上で行える。しかし、動画のポスト・プロセッシングはピクセルシェーダーとOpenCLカーネルに送られる。また、MPEG-2のデコードはサポートされているものの、UVDではなくシェーダーで行われる。このデコーダーはBlu-rayとHD DVDの再生要件を満たしており、H.264/AVCならば40 Mbpsのビットレートまでデコード可能である。H.264/AVCにおけるCABACもサポートしている。
前世代のGPUにおけるアクセラレーションはかなりCPUの補助が必要であったが、UVDはほとんどの処理をオフロードできる。前時代のGPU(たとえばATI Radeon R520シリーズのAVIVOやNVidia GeForce 7シリーズのPureVideoはH.264やVC-1におけるビットストリーム/エントロピーの伸展ができなかったため、これらはCPUで行われた。[4] UVDはVLC/CAVLC/CABAC/フーリエ変換/動き予測/デブロッキングフィルタなどを処理できるが、ポスト・プロセッシングはシェーダーに任せる。[5] ポスト・プロセッシングとはノイズ除去/インターレース解除/拡大・縮小などである。AMDは65 nmプロセスにおいては、UVDはわずか4.7 mm²のダイ面積しか使用していないと主張している。
UVD+と呼ばれるUVDの変種は、Radeon HD 3000シリーズから搭載された。UVD+は高解像度の動画のためにHDCPをサポートした。[6] しかし、UVD+は単にUVDとしてマーケティングされている。
UVD 2
[編集]Radeon HD 4000シリーズの発表に伴い、UVDは大幅に更新された。UVD 2はH.264/MPEG-4 AVCやVC-1のビットストリームの完全なデコード、さらにMPEG-2のiDCT(離散コサイン変換)レベルのアクセラレーションも可能になった。性能の向上により二つのストリームを同時にデコードできるようになり、ピクチャー・イン・ピクチャーが可能になった。この結果、Blu-rayにおけるBD-Liveと完全に互換になった。
UVD 2.2
[編集]UVD 2.2はローカルのメモリインターフェースを再デザインし、H.264/VC-1/MPEG-2の動画との互換性を向上させた。しかし、マーケティング上は"UVD 2 Enhanced"として「特別なコアを用い、RV770/RV730シリーズで採用されたH.264/VC-1/MPEG-2を二つ同時にデコードできるもの」という扱いだった。UVD 2に対する追加アップデートとしてのUVD 2.2の立ち位置はこの様に表される。
UVD 3
[編集]UVD 3はMPEG-2ビットストリームのデコード、DivX/XvidのMPEG-4 Part 2によるデコード、Blu-ray 3DのMultiview Video Codingによるデコードをサポートした。[7] 更に120 Hzのステレオ3Dのサポート、CPUの補助の必要を減らす最適化などが行われた。
UVD 4/VCE 1
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Radeon HD 7000シリーズ、Radeon Rx 200シリーズ、Rx 370(X)、APUのKaveri、Kabini等のAPUに搭載。H.264/AVCHDデコード時におけるエラー回復の改善がなされた[8]。AMD Fluid Motionに対応。
UVD 4.2/VCE 2
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Radeon R7 260(X)、R9 290シリーズ、R7 360(E)、R9 390(X)、Socket AM1ののKabini、Socket FM2のKaveriに搭載[9]。
UVD 5/VCE 3
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Radeon R9 285、R9 380(X)、R9 Fury(X)、R9 Nanoに搭載。H.264のHigh Profile Level 5.2サポートと4K解像度のデコードに対応[10]。
UVD 6/VCE 3.1
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Socket FM2とSocket AM4のCarrizo、Socket AM4のBristol Ridgeに搭載。H.265およびJPEGのデコードに対応。
UVD 6.3/VCE 3.4
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Radeon RX 400シリーズ、RX 500シリーズに搭載。H.265のエンコードに対応。
UVD 7/VCE 4
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Radeon RX Vegaシリーズに搭載。
UVDが有効なGPU
[編集]コードネーム | モデル | UVDのバージョン |
---|---|---|
Tonga | R9 285 | UVD 5 |
Vesuvius | R9 295 | UVD 4.2 |
Hawaii | R9 290 Series | UVD 4.2 |
Curacao | Radeon R7 270 Series R7 265 |
UVD 4 |
Oland | R7 240 R7 250 |
UVD 4 |
Tahiti | Radeon HD 7900 Series R9 280 Series |
UVD 4 |
Pitcairn | Radeon HD 7800 Series | UVD 4 |
Bonaire | Radeon HD 7790 R7 260 Series |
UVD 4.2 |
Cape Verde | Radeon HD 7700 Series R7 250X Series |
UVD 4 |
Cayman | Radeon HD 6900 Series | UVD 3 |
Barts | Radeon HD 6800 Series | UVD 3 |
Turks | Radeon HD 6600 Series Radeon HD 6500 Series |
UVD 3 |
Caicos | Radeon HD 6400 Series | UVD 3 |
Hemlock注1 Cypress |
Radeon HD 5900 Series Radeon HD 5800 Series |
UVD 2.2 |
Juniper | Radeon HD 5700/6700 Series | UVD 2.2 |
Redwood | Radeon HD 5600/5500 Series | UVD 2.2 |
Cedar | Radeon HD 5400 Series | UVD 2.2 |
RV790 | Radeon HD 4890 Series | UVD 2 |
R700注1 RV770 |
Radeon HD 4800 X2 Series Radeon HD 4800 Series |
UVD 2 |
RV740 | Radeon HD 4700 Series | UVD 2.2 |
RV730 | Radeon HD 4600 Series | UVD 2.2 |
RV710 | Radeon HD 4300/4500 Series | UVD 2.2 |
RV670 | Radeon HD 3800 Series | UVD+ |
RV635 | Radeon HD 3600 Series | UVD+ |
RV620 | Radeon HD 3400 Series | UVD+ |
RV630 | Radeon HD 2600 Series | UVD |
RV610 | Radeon HD 2400 Series | UVD |
RS880 | Radeon HD 4200/AMD 785G Chipset | UVD 2 |
RS780 RS780D |
Radeon HD 3200/AMD 780G Chipset Radeon HD 3300 IGP/AMD 790GX Chipset |
UVD [11] |
M98 | Mobility Radeon HD 4800 Series | UVD 2 |
M96 | Mobility Radeon HD 4600 Series | UVD 2 |
M92 | Mobility Radeon HD 4300/4500 Series | UVD 2.2 |
M88 | Mobility Radeon HD 3800 Series | UVD+ |
M86 | Mobility Radeon HD 3600 Series | UVD+ |
M82 | Mobility Radeon HD 3400 Series | UVD+ |
M76 | Mobility Radeon HD 2600 Series | UVD |
M72 | Mobility Radeon HD 2400 Series | UVD |
M71注2 | Mobility Radeon HD 2300 Series | UVD |
付記:
- 注1: デュアルGPUである。
- 注2: バージョン 8.371もしくはそれ以降を用いないと、UVDをH.264向けに有効化した際にシステムがクラッシュすることがある。
脚注
[編集]- ^ Phoronix
- ^ AMD's X-Video Bitstream Acceleration
- ^ AMD Releases Open-Source UVD Video Support
- ^ HardSpell review
- ^ Smith, Ryan (February 24, 2010). “AMD’s Radeon HD 5450: The Next Step In HTPC Video Cards”. AnandTech. AnandTech, Inc. p. 4. April 7, 2010閲覧。 “Since deinterlacing and other AVIVO post-processing actions are done by the shader hardware, the limited shading capabilities of these cards meant that AMD couldn’t offer the full suite of AVIVO abilities at once.”
- ^ PC-DVD discussion thread, retrieved August 23, 2008
- ^ Radeon 6800 Series Launches, Targets GeForce GTX 460 by Jansen Ng, 10/21/2010 DailyTech
- ^ 「A10-7850K」レビュー前編 - 4Gamer.net
- ^ AMD AM1 Athlon 5350 Reviewed pcper.com
- ^ 「Radeon R9 285」レビュー - 4Gamer.net
- ^ http://www.tomshardware.com/reviews/amd-785g-chipset,2381-3.html