鏡面反射
鏡面反射(きょうめんはんしゃ、英: Specular reflection)は、二物質の界面において発生する反射である。鏡面反射では反射の法則が成り立ち、入射角と反射角を等しくする。これを一般に と表す。
特に鏡など、ほとんど凹凸のない面における鏡面反射のみを指して正反射(せいはんしゃ)と呼ぶことがある。正反射では光の向きを保存するためいわゆる鏡写しの虚像が見えるのが特徴である。
鏡面反射という用語は可視光線に対するものだが、工学や科学では他の電磁波についてもこの用語を用いる。電磁波以外の波動の鏡面反射も同じ原理に従う。音波を鏡面反射する鏡や原子を鏡面反射する原子鏡もある。固体の鏡で効率的に原子を反射するには、原子が非常に低温であったり、入射角に注意が必要である。これを量子反射と呼ぶ。原子の鏡面反射を強化する鏡として、うね(ridge)のある鏡がある。
反射の法則は、平らな境界面上の(短い波長の)平面波の回折から生じる。平坦な境界面が波長よりもずっと大きい場合、境界面の電子が鏡面反射の方向にのみ励起される。鏡面が波長と比較して小さい場合、反射の法則は成り立たず、光の反射は複雑になる。
鏡面反射に対して、界面下で発生する反射を拡散反射と呼ぶ。鏡面反射と拡散反射の割合は材質固有の反射率とフレネルの式によって決定される。非金属では鏡面反射の割合が低いのに対し、金属表面では鏡面反射の割合が大きくなる。フレネルの法則によって、入射角 が大きければ大きいほど鏡面反射が強くなる。屈折率の大きい媒質を伝播する光が屈折率の小さい媒質との境界面に当たった場合、大きな入射角では全反射が発生することがある。
近似
[編集]凹凸のない表面では鏡面反射は正反射となるが、凹凸のある表面では巨視的には広がりのある反射となる。同じ色の塗料でも艶消し加工にすると白っぽく見えるのは薄く広がった鏡面反射によるものである。