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蜜標

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
可視光(左)と紫外線(右)によるミゾホオズキ属の植物の花の画像。ミツバチには見えるが、人間には見えない暗い模様がある。

蜜標(みつひょう)とは、いくつかの被子植物の花に見られる、ポリネーターを蜜などの報酬へと導く模様のことである。ネクターガイド、ネクターサインなどとも呼ばれる。

概要

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報酬は一般的に花粉、またはその両方の形をとるが、さまざまな植物が油[1]、樹脂[2]、香り[3]、ワックスなどを報酬として生産する。英語では、「pollen guides」や「honey guides」とも呼ばれるが、このような用語は使わず、「floral guides」という語を使うべきであると主張する権威者もいる[4]。ポリネーターを介する選択(pollinator-mediated selection)と呼ばれるプロセスを通じて、花粉媒介者の訪問は、蜜標を含むさまざまな花の形質を決定づける。

例えば、Linaria genistifoliaというオオバコ科の植物は、黄色い花にオレンジ色の蜜標がある[5]。しかし、ヒマワリなど一部の植物では、紫外線の下で見たときにのみ蜜標が見える。紫外線下では、花は蜜腺がある中心部が濃くなり、花弁にも特定の模様があることが多い。これは、ミツバチなどのポリネーターや紫外線を見ることができる昆虫にとって、花をより魅力的にするためと考えられている。

人間には見えない紫外線の色はビー・バイオレット(bee violet)と呼ばれ、紫外線に緑色(黄色)の波長(およそ540ナノメートル[6])を混ぜたものは、人間の視覚における紫色になぞらえてビー・パープル(bee purple)と呼ばれている[7]

脚注

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  1. ^ Buchmann, SL. (1987). “The ecology of oil flowers and their bees”. Annual Review of Ecology and Systematics 18 (1): 343–70. doi:10.1146/annurev.es.18.110187.002015. 
  2. ^ Reis Mariza G.; de Faria, Aparecida D.; Bittrich, Volker; do Carmo, Maria; Amaral E.; Marsaioli, Anita J. : The Chemistry of Flower Rewards : J. Braz. Chem. Soc., Vol. 11, No. 6, 600-608, 2000.
  3. ^ Teichert, Holger; Pollination biology of cantharophilous and melittophilous Annonaceae and Cyclanthaceae in French Guiana; Doctoral dissertation at University of Ulm, 2008
  4. ^ Dinkel T., Lunau K.: How drone flies (Eristalis tenax L., Syrphidae, Diptera) use floral guides to locate food sources. Journal of Insect Physiology Volume 47, Issue 10, September 2001, Pages 1111-1118
  5. ^ Biology and Biological Control of Dalmatian and Yellow Toadflax.”. 2023年7月25日閲覧。
  6. ^ Briscoe, Adriana D.; Chittka, Lars. The Evolution of Color Vision in Insects. Annu. Rev. Entomol. 2001. 46:471–510
  7. ^ Charles D. Michener (1974). The Social Behavior of the Bees: A Comparative Study. Harvard University Press. ISBN 0-674-81175-5. https://books.google.com/books?id=aordrL_D-30C&dq=%22bee+purple%22&pg=PA17 

外部リンク

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