薬味
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薬味(やくみ)とは、漢方薬および匂いの強い料理用の香味料のことを指す。
定義
[編集]- 漢方薬:薬方(処方)を構成する個々の生薬のことである。単に味(み)ともいう。たとえば、葛根湯を構成する葛根・麻黄・桂枝・甘草などのことで、葛根湯は七つの薬味を使用して製造され、また七味の薬方などという。生薬には、酸・苦・甘・辛・鹹(かん、しおからい)の五味のうちの一つまたは二つ以上がそれぞれ定義されており、それらは薬効や配剤の上で意味を持つ。
- 料理に少量添えて用いられる香りや味の強い香味料:欧米文化では緑葉のものをハーブといい、香辛料をスパイスという。本項目ではこれについて説明する。香味の強い食材は、毒消しや、強壮・健胃などの働きもある。料理に使われる薬味の中には、生薑(しょうきょう、しょうがのこと)、紫蘇(しそ)、蜀椒(しょくしょう、さんしょう)、桂枝(けいし、シナモン)など、漢方の薬味として用いられるものも多くある。
料理向けの薬味
[編集]香味料や香辛料として用いる果物や野菜、削り節などの総称。野菜は香味野菜などとも呼ばれ、果物は主に用いる柑橘類の種類を香酸かんきつとも分ける。動物性のものはかつお節やサクラエビなど水産食品が顕著である。用途は料理に少量加えることで、香りを添えて食欲をそそる効果を出す、あるいは料理に彩りを与えたり、味を引き締め深みを出すなどの目的で用いる。 また、香りや味だけでなく、薬膳的な効用にも配慮した使われ方がされている。
日本料理で薬味が用いられる料理としては、そば、うどん、冷奴、納豆、吸い物などがある。
薬味はこれら和風の料理以外に、中華料理でも、西洋料理でも使われている。朝鮮料理では、後から味付けに使う調味料との総称でヤンニョム(薬念)の名がある。
東南アジアでは、麺類やスープ、カレーなどに、薬味に相当する生野菜(ミント、コリアンダー、ドクダミの葉など)を投じて食べる習慣が普及している。
薬味の種類
[編集]- 野菜類
- ネギ、ニラ、タマネギ、ダイコン、セリ、ミツバ、シソ、蓼、木の芽、ショウガ、ミョウガ、ニンニク、ギョウジャニンニク、ワサビ、ホースラディッシュ、クレソン、パセリ、セロリ、コリアンダー、ミント、ドクダミ、ウイキョウ、ケッパー、バジル、ルッコラ、レモングラス、菊の花、貝割れ大根
- 海草類
- 海苔、アオノリ、アオサ、ヒトエグサ、とろろ昆布
- 香辛料
- 唐辛子、コショウ、カラシ(マスタード)、山椒の粉、花椒の粉、クミン、パプリカ、カルダモン、アニス、八角、ナツメグ、ターメリック、シナモン、ローリエ、陳皮
- 柑橘類
- レモン、ライム、ユズ、カボス、スダチ、シークヮーサー、ダイダイ
- 種子類
- ゴマ、ラッカセイ、クルミ、松の実、マカダミアナッツ
- 果実類
- 梅干し、乾し葡萄、クコの実
- 動物性のもの
- 削り節、サクラエビ、ちりめんじゃこ、魚粉
- その他
- 天かす、油揚げ、油条
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 薬味の効用(コラム「食材のこと」、京都 生蕎麦 大黒屋)
- 薬味のチカラ - ウェイバックマシン(2009年6月1日アーカイブ分)
- 身近な生活にある薬用植物 薬味(野尻 佳与子、2004年1月、内藤記念くすり博物館)