幕内最高優勝賞品
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幕内最高優勝賞品(まくのうちさいこうゆうしょうしょうひん)とは、大相撲で幕内最高優勝を達成した力士に贈呈される賜杯、賞状および副賞である。かつては簡素なものであったが時代とともに賞品の数が増え、現在では20種類以上の表彰が行われ時間も40分以上かかる。また優勝賞品は、開催地自治体からのものなど各場所によって多少異なる場合がある。なお、土俵上は女人禁制であるため、授与する人物は男性に限定される。天皇賜杯を筆頭とする優勝賞品のトロフィーは、本場所開催中入り口付近に展示されている。
正賞
[編集]- 賜杯・優勝旗は翌場所初日の幕内土俵入り・横綱土俵入りの後に行われる返還式で優勝力士本人から返還されることになっている。なお、怪我などによる休場や翌場所開催前の引退で本人が返還できない場合は原則として所属部屋の師匠が代行する。二枚鑑札の力士が優勝翌場所を全休した場合は本人=師匠であるため師匠の出席も困難となるが、優勝旗手制度廃止以降でその例はない。なお、1989年3月場所の千代の富士のように、場所終盤の故障により一人で賜杯を受けられるかどうか危ぶまれたため師匠が付き添った例がある。
- 基本的に内閣官房副長官クラスの政治家が手渡すことになっているが、首相本人や内閣官房長官が手渡す場合もある。首相が授与した例は以下。
- その他、地方場所(大阪・名古屋・博多)では会場近隣の選挙区選出の政務次官、副大臣、大臣政務官クラスの政治家が渡す場合がある。いずれにしても、総理大臣杯は相当の重量があるため、呼出が補助について持ち上げるのが普通である。
- 2020年3月場所以降は、新型コロナウイルスの影響を考慮して、理事長が手渡していたが、2022年7月場所から政府関係者による授与が再開された。
- ※ 優勝額は東京場所初日の賜杯・優勝旗返還式のあと、前2場所の優勝力士を改めて表彰し、除幕される。2013年までは彩色家の佐藤寿々江が、力士のモノクロ写真に、絵の具にて着色したものを贈呈していたが、佐藤が高齢となったことや、本人の強い意向により後継者への継承をしないことになり、2014年からは富士フイルムの技術協力によりデジタル処理したパネル写真が贈呈・掲額されている[2]。
友好杯
[編集]- チェコ共和国友好杯:友好杯(クリスタルグラス製カップ)/副賞(チェコビール1年分[3])/賞状
- アラブ首長国連邦友好杯:友好杯(アラビア伝統のコーヒーポット)/副賞(ガソリン1年分)/賞状
- 日仏友好杯:友好杯/副賞(ピエール・エルメ・パリ特製マカロン詰め合わせ)/賞状
- 土俵上で呼出が持つ巨大マカロン(直径41cm、厚さ23cm)はオブジェであり、食べることはできない。代わりに表面に金箔を貼った「黄金のマカロン」が22個入ったスペシャルボックスが贈られるが、消費期限4日と日持ちがしないため後日優勝力士の部屋へ届けられる[4]。
- ハンガリー国友好杯:トロフィー/副賞(ティーセット)/賞状
- 1986年から2019年3月場所まではヘレンド社製の縦長の壺だったが、日本・ハンガリー外交関係開設150周年を機に2019年5月場所からは巨大なティーカップのトロフィーに変更。カップの口径は40cmで、同じくヘレンド社製[5]。
地方自治体
[編集]- 開催地の自治体によるもの
- 東京都知事賞:北村西望作獅子奮迅像/賞状 ※ 東京場所のみ
- 大阪府知事賞:トロフィー/賞状/副賞(地酒・おこし・豚まん・だんじりプリン・だしパック・もなか・あまくち醤油・水なす漬・フジコーラ・焼き肉のタレ・黒舞昆・クラフトコーラ・唐揚げ粉・コラーゲンブレッド・れんこんうどん)[6] ※3月場所のみ
- ※ トロフィーは翌年の3月場所前に優勝力士が大阪府庁を訪問して大阪府知事に返還し、レプリカが授与される。
- 和歌山県湯浅町賞: 優勝カップ/賞状/副賞 (しょうゆ一年分)※3月場所のみ
- 愛知県知事賞/副賞(ウズラ卵の水煮5万個、名古屋コーチン肉100kg、卵1800個、アサリ500kg、うなぎなど特産品が毎年選ばれる) ※7月場所のみ
- 名古屋市長賞 ※ 7月場所のみ
- 福岡県知事賞:トロフィー/賞状/副賞(元気つくし・福岡のり・あまおう1年分) ※11月場所のみ
- 福岡市長賞:トロフィー/賞状/副賞(明太子1年分) ※11月場所のみ
- その他自治体
- 福島県知事賞:赤べこトロフィー・賞状・金一封/副賞(天のつぶ1t・福島牛・野菜と果実の詰め合わせ)
- 福井県知事賞:トロフィー/副賞(福井梅1t)/賞状/金一封
- 静岡県農林水産業振興会会長賞:トロフィー/副賞(静岡茶体重相当分)/賞状/金一封
- 奈良県知事賞:トロフィー/副賞(ちゃんこ大和づくし&三輪そうめん300人前)/賞状/金一封 [7]
- 愛媛県青果連賞:トロフィー/副賞(ポンジュース1500本)/賞状/金一封
- 宮崎県知事賞:トロフィー/副賞(宮崎牛特選肉1頭分・旬の果実1t分)/賞状/金一封
牛肉や米、野菜、ビールなど多くの食べ物や飲み物が部屋に届くが、高砂部屋によると部屋で全て食べきれるはずもなく、かなりの量は関係者や近所に配ることになるという[8]。
その他団体
[編集]- NHK金杯:金杯(正倉院の御物の模型)賞状/金一封
- 日本航空賞:JALトロフィー/賞状/金一封
- コカ・コーラ賞(日本コカ・コーラ)/トロフィー/賞状/金一封
- 酒の司大関賞:大尽杯/副賞(清酒大関4斗樽・ワンカップ大関1年分)/賞状/金一封
- 東京新聞・東京中日スポーツ賞(中日新聞東京本社):楯/賞状/金一封 ※東京場所のみ
- 造幣局理事長杯:理事長杯/賞状/レプリカレリーフ ※3月場所のみ
- 吉本興業賞:笑いの盾/賞状/金一封/副賞(なんばグランド花月1年間フリーパス) ※3月場所のみ
- なお、この賞は毎年同社所属のタレントがプレゼンターを務めることが恒例となっている[9]。
- 中日新聞賞:トロフィー/賞状/金一封 ※7月場所のみ
- CBC賞(CBCテレビ):金鯱トロフィー/賞状/金一封 ※7月場所のみ
- 東海テレビ放送賞:トロフィー/賞状/金一封 ※7月場所のみ
- RKB毎日放送賞:大銀盃/賞状/金一封 ※11月場所のみ
- 大分県椎茸農協賞:トロフィー(椎茸入り)/副賞(OSK干し椎茸)/賞状/金一封※11月場所のみ
表彰式順序
[編集]- 国歌斉唱(起立の上前奏に引き続き唱和する)
- アナウンス「〜年〜月場所幕内最高優勝は(役名)四股名+名前。成績は〜勝〜敗(15戦全勝)であります。」
- 天皇賜杯拝戴(はいたい) - 理事長より授与
- 優勝旗授与 - 審判部長より授与
- 内閣総理大臣杯授与
- 土俵下で優勝力士インタビューが行われる。
インタビュアーはNHK大相撲中継の東方担当アナウンサーが担当し、「ここで、優勝力士のインタビューであります。インタビューはNHK、○○アナウンサー(当日の担当者)であります」と場内アナウンスが入る。
- 各国友好杯授与
- 自治体・団体賞授与
- 最多勝力士賞授与 ※11月場所のみ
- 三賞授与
- 出世力士手打式・神送りの儀式
関連項目
[編集]- デビッド・ジョーンズ (パンアメリカン航空) - かつて存在したアメリカの代表的な航空会社であるパンアメリカン航空(パンナム)も優勝力士にトロフィーを贈っていた。「ヒョー・ショー・ジョウ!」から始まり本場所の地域方言を使ったユニークな表彰状朗読は、相撲ファンに非常に喜ばれた。
- ジャック・シラク - 大の親日家・好角家で、フランス大統領在任中には優勝力士に大統領杯が贈られていた。
- チェコスロバキア社会主義共和国 - チェコ共和国友好杯はチェコとスロバキアが分離するまではチェコスロバキア友好杯として授与されていた。
- 小泉純一郎 - 2001年5月27日の大相撲夏場所千秋楽に於いて、負傷を押して千秋楽まで取り組み優勝した貴乃花に対しての表彰状朗読の際、「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」とアドリブで発言し、相撲ファンに非常に喜ばれ、上記のデビッド・ジョーンズの表彰状朗読と並んで、相撲史に残る名場面として語り継がれている。
- 森山眞弓
- 太田房江 - 元大阪府知事。現参議院議員。2000年2月に全国初の女性知事として就任した後、同年の3月場所では大阪府知事賞を自ら授与したいと希望したが、日本相撲協会から「女人禁制の伝統」を理由に断られ、結局は男性の副知事から優勝力士の貴闘力忠茂へ授与された。太田の要望は翌年以降も協会に拒否され、2008年2月の2期目任期満了による退任まで太田が土俵に上がることはなかった。太田はこの経験を元に、2018年4月に起きた「女性は土俵から降りてください」問題に際して記事を書いている[10]。
- 幕内最高優勝の記録一覧
出典
[編集]- ^ 首相 大相撲を観戦 日本経済新聞 2011年9月25日発信・閲覧
- ^ 優勝額の彩色家・佐藤寿々江さんが引退(日刊スポーツ2014年1月22日 2015年1月15日閲覧)、力士優勝額の色付け60年余…85歳の彩色職人引退(朝日新聞2014年1月22日 2015年1月15日閲覧)
- ^ チェコ共和国大使館
- ^ 大相撲の表彰式でおなじみ巨大マカロン!なぜ登場するようになったのか?
- ^ ハンガリー友好杯まさかの一新、特大ティーカップに
- ^ “大相撲三月場所の大阪府知事賞”. 大阪府. 2023年3月26日閲覧。
- ^ “大相撲3月場所幕内最高力士へ奈良県知事賞の贈呈について New!”. 奈良県. 2023年3月26日閲覧。
- ^ HYPER 高砂部屋
- ^ 春恒例「吉本興業賞」授与 芸能生活50周年、間寛平がプレゼンター2021年3月29日 スポーツニッポン
- ^ 太田房江 (2018年4月13日). “大相撲「女人禁制」を考える”. 太田房江オフィシャルブログ. 2024年5月14日閲覧。