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先天性無包皮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
先天性無包皮
ヒトの先天性無包皮の正常陰茎
概要
診療科 泌尿器科
分類および外部参照情報

先天性無包皮(せんてんせいむほうひ、: Aposthia)は、男児の出生時に先天的陰茎包皮が存在しない稀な状態である[1](pp37-39)。日常生活で困難を感じない場合は疾患ではないと思われる。

ユダヤ教における先天性無包皮

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19世紀末、E・S・タルボットは、ユダヤ人の先天性無包皮は、今では否定されているラマルキズム進化論[注 1]の証拠だと主張した[2]。また、チャールズ・ダーウィンはその著作『The Variation of Animals and Plants Under Domestication』の中で、「生まれつき割礼を受けている」新生児のケースを、今では否定されている融合遺伝[注 2]の「決定的な証拠」[3]として挙げている。ダーウィンが言及した症例は、尿道が陰茎の裏側にある尿道下裂[注 3]であった可能性が高い。

ユダヤ教の教義では、包皮を持たずに生まれた男性や、正式な割礼(ブリット・ミラ:ברית מילה)以外の方法で包皮を失った男性には、包皮が付いている/付いていたはずの陰茎から一滴の血(ハタファット・ダム:הטתדם)を流すことが義務付けられている。

文学における先天性無包皮

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ロバート・A・ハインラインの幾つかの小説に登場する主人公Lazarus Longは、生まれつき無包皮だとされている[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ 獲得形質が遺伝するとする考え方。即ち、神の教えに従えば包皮は必要ないので、切除し続ければやがて形質として消失すると考える。
  2. ^ 両親の形質が親の値の平均として承継されるとする考え方。即ち、神に祝福されたユダヤ人の優れた形質が無包皮として発現すると考える。
  3. ^ 欧米では軽症例を含めると、新生男児の最大4%に見られる[4]。尿道下裂では包皮が未発達であり、亀頭腹側が露出している場合が多い。

出典

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  1. ^ Fahmy, Mohamed (2017) (英語). Congenital Anomalies of the Penis. Springer. ISBN 978-3-319-43310-3 
  2. ^ E. S. Talbot, "Inheritance of circumcision effects", Medicine 1898, 4:473-475.
  3. ^ Darwin, Charles (1868), "Variation of Plants and Animals Under Domestication Archived 2013-11-02 at the Wayback Machine.", Volume 1, Chapter XIV.
  4. ^ Rice, William R.; Friberg, Urban; Gavrilets, Sergey (2016). “Sexually antagonistic epigenetic marks that canalize sexually dimorphic development” (英語). Molecular Ecology 25 (8): 1812–1822. doi:10.1111/mec.13490. ISSN 0962-1083. http://volweb2.utk.edu/~gavrila/papers/mol_ecol_16.pdf. 
  5. ^ Heinlein, Robert A. (1987-08-01). Time enough for love: the lives of Lazarus Long. Penguin. pp. 322–. ISBN 978-0-441-81076-5. https://books.google.com/books?id=Ku8VdZasey0C&pg=PT322 2 August 2011閲覧。 

外部リンク

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