中村直勝
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人物情報 | |
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生誕 |
1890年6月7日 日本滋賀県大津市 |
死没 | 1976年2月23日 (85歳没) |
出身校 | 京都帝国大学 |
学問 | |
研究分野 | 歴史学(日本史) |
研究機関 | 京都女子大学・大手前女子大学 |
中村 直勝(なかむら なおかつ、1890年6月7日[1] - 1976年2月23日[1])は、大正・昭和期の日本の歴史学者。
経歴
[編集]滋賀県滋賀郡大津町(現在の大津市)にある長等神社の社家の家に生まれる[2]。膳所中学校・第三高等学校[3] を経て京都帝国大学に入る。三浦周行の門下で古文書学などを研究する。卒業論文「皇室制度」をまとめ[4]、1915年7月に京都帝国大学文科大学卒業[1][5]。さらに、古文書学の研究のため、大学院に進む[6]。1919年9月より第三高等学校で歴史学を講じ、1920年に同校教授となる[1]。1927年7月からは京都帝国大学助教授[7][8]として古文書学を担当した他、南朝や荘園・皇室領・座・供御人などの研究を行った。1946年に「荘園の研究」を提出して京都大学から文学博士の学位を授与される[9][10]。
戦後は1948年に公職追放となる[1] も、追放期間中を北朝の再評価や民衆文化、茶道史などの研究に充てたほか、多くの著作を執筆した。1956年に京都女子大学教授となり、1966年からは大手前女子大学(現在の大手前大学)学長を務めた[1][11]。
研究内容・業績
[編集]近畿地方を中心に各地に眠っている古文書の調査・刊行を行った他、日本古文書学会第2代会長を務め[1]、また市民への歴史学に対する啓蒙活動にも熱心であった。古文書学・南北朝時代史・荘園経済史・芸能史の研究に成果を残し、『南朝の研究』『日本古文書学』『荘園の研究』等の著書がある。
中村のもとでは清水三男、赤松俊秀、林屋辰三郎といった古文書学にあつい中世史家が育った。
著書
[編集]- 『日本文化史 第7巻 南北朝』大鐙閣 1922
- 『南朝の研究』星野書店 1927
- 『醍醐天皇御事略』醍醐天皇一千年御遠忌事務局 1928
- 『宇多天皇御事紀』宇多天皇一千年御忌臨時局 1931
- 『北畠親房』星野書店 1932
- 『北畠親房・顕家両卿の研究』別格官幣社阿部野神社社務所 1932
- 『天皇と国史の進展』賢文館 1934
- 『少年大日本史 徳川家光』建設社 1935
- 『宗良親王御伝略』官幣中社井伊谷宮奉賛会 1935
- 『吉野朝史』星野書店 1935
- 『国史通論』星野書店 1937
- 『日本教育家文庫 第11巻 北畠親房』北海出版社 1937
- 『大阪と北畠親房・顕家両卿』北畠卿奉讃会 1938
- 『天智天皇』近江神宮奉賛会 1938
- 『日本古文書学』日本文学社 1938
- 『日本肇国の大精神』海上国民精神総動員聯盟 1938
- 『楠氏一門の教養』教学局 1939
- 『荘園の研究』星野書店 1939
- 『水無瀬・山崎附近』京阪電気鉄道・趣味の京阪叢書 1939 のち宝書房
- 『吉野朝時代史通論』日本放送出版協会・ラヂオ新書 1941
- 『通説日本上代史』臼井書房 1942
- 『日本新文化史 第7巻 吉野時代』内外書籍 1942
- 『北畠親房公景伝』訂補 星野書店 1943
- 『国史の話』全国書房 1943
- 『通説日本中世近代史』一条書房 1943
- 『随筆楠公』星野書店 1943
- 『日本概史』文芸春秋社 1943
- 『新概觀國史』北海出版社 1944
- 『神社文化史』一条書房 1944
- 『日本想芸史』宝書房 1946
- 『男山』宝書房・京阪神叢書 1947
- 『経済史観日本』臼井書房 1948
- 『南都北嶺』星野書店 1948
- 『足利ノ尊氏』弘文堂・アテネ新書 1953
- 『南方録に学ぶ』星野書店 1954
- 『増鏡』弘文堂 アテネ文庫 古典解説シリーズ 1955
- 『京の魅力』正続 葛西宗誠写真 淡交新社 1959-1960
- 『奈良・大和路の魅力』葛西宗誠写真 淡交新社 1960
- 『光厳天皇』淡交新社 1961
- 『起請の心』便利堂 1962
- 『京の庭を歩く 庭の思想』白川書院 1962
- 『斜めに見る京都』白川書院 1962
- 『平安時代の文化』至文堂・日本歴史新書 1962
- 『吉野・熊野路の魅力』葛西宗誠写真 淡交新社 1962
- 『歴史の発見 古文書の魅力』人物往来社 1962
- 『京の仏たち』白川書院 1963
- 『新・京の魅力』葛西宗誠写真 淡交新社 1963
- 『日本歴史読本』人物往来社 1963
- 『京のやしろ』岡本東洋写真 淡交新社 1965
- 『中村直勝日本史』全4冊 白川書院 1965-1971
- 『大和のやしろ』葛西宗誠写真 淡交新社 1965
- 『教養日本史』白川書院 1967
- 『茶道の心』浪速社 1968
- 『南坊録 茶道聖典』浪速社 1968
- 『茶聖千利休』浪速社 1969
- 『語らばやな古社寺』学生社 1970
- 『日本芸能小史』浪速社 1970
- 『東山殿義政私伝』河原書店 1970
- 『カラー京都の魅力 洛西』写真: 山本建三 淡交社 1971
- 『カラー京都の魅力 洛東』写真: 柴田秋介 淡交社 1971
- 『カラー京都の魅力 洛南』写真: 葛西宗誠 淡交社 1971
- 『堺文化史伝』堺市教育委員会 1971
- 『カラー京都の魅力 洛中』写真: 岩宮武二 淡交社 1972
- 『カラー近江路の魅力』写真: 山本建三 淡交社 1973
- 『カラー京都の魅力 洛北』写真:浅野喜市 淡交社 1974
- 『カラー美濃路の魅力』写真:柴田秋介 淡交社 1974
- 『荒説日本史』主婦の友社 1975
- 『中村直勝著作集』全11巻 淡交社、1978-1979
- 第1巻 (通説日本史)
- 第2巻 (社会文化史)
- 第3巻 (南朝の研究)
- 第4巻 (荘園の研究)
- 第5巻 (古文書の心)
- 第6巻 (歴代天皇紀)
- 第7巻 (歴史と人物)
- 第8巻 (想芸の道)
- 第9巻 (神社と寺院)
- 第10巻 (故郷の魅力)
- 第11-12巻 (歴史の発見)
- 『「通」のための裏返し日本史 この時代のここを見れば日本史の本質がわかる』主婦の友インフォス情報社 2008
共著など
[編集]- 『後醍醐天皇関係十五官幣社御祭神御神徳記』編 建武中興記念会 1939
- 『東大寺文書 第1 (東大寺百巻文書 第1-50巻)』編 全国書房 1945
- 『中村直勝博士蒐集古文書』中村直勝博士古稀記念会 1960
- 『兵法五輪書』宮本武蔵 著 校註解説 講談社 1970
- 『平家物語 歴史対談』村上元三共著 講談社 1971
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g 署名なし 1976
- ^ 中田勇次郎 1976
- ^ 1912年7月に大学予科卒業(『第三高等学校一覧 大正2年9月起大正3年8月止』第三高等学校、1914年2月、222頁。NDLJP:940317/123。)
- ^ 「彙報 京都文科大学本年度卒業論文題目」『藝文』第6巻第6号、京都文学会、1915年、101頁、NCID BA63161336、全国書誌番号:00006660。
- ^ 京都帝国大学 編『京都帝国大学卒業生名簿』京都帝国大学、1936年、296-297頁。NDLJP:1277558/161。
- ^ 『官報』第940号、大正4年9月18日、p.349
- ^ 京都大学百年史編集委員会 編「第4編: 一覧・統計 第4章: 主要人事一覧」『京都大学百年史 資料編3』京都大学教育研究振興財団、2001年、196頁。
- ^ 『官報』第167号、昭和2年7月20日、p.167. NDLJP:2956627/4
- ^ 京都大学事務局庶務課調査掛 編『京都大学学位録 自大正10年至昭和26年』京都大学、1952年9月5日、176頁。NDLJP:9542411/96。
- ^ “書誌事項(CiNii Dissertations)”. 国立情報学研究所. 2017年6月20日閲覧。
- ^ 川勝政太郎 1976
参考文献
[編集]- 署名なし「故中村直勝先生略歴・主要著書」『史迹と美術』第46巻第3号、史迹美術同攷会、1976年、82頁、NAID 40001536639。
- 熱田公「中村直勝」『国史大辞典 10』(吉川弘文館 1989年) ISBN 978-4-642-00510-4
- 岩井忠熊「中村直勝」『日本史大事典 5』(平凡社 1993年) ISBN 978-4-582-13105-5
- 佐藤和彦「中村直勝」『日本歴史大事典 3』(小学館 2001年) ISBN 978-4-09-523003-0
- 中田勇次郎「故学長中村直勝先生追悼のことば」『大手前女子大学論集』第10号、大手前大学・大手前短期大学、1976年、1頁、NAID 110000046097。
- 川勝政太郎(編)「故中村直勝先生略歴(故学長中村直勝先生追悼のことば)」『大手前女子大学論集』第10号、大手前大学・大手前短期大学、1976年、2頁、NAID 110000046097。