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殿山泰司

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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とのやま たいじ
殿山 泰司
殿山 泰司
『残侠の港』(1953年。東映)スチル写真
本名 殿山 泰爾
別名義 殿山 泰二
生年月日 (1915-10-17) 1915年10月17日
没年月日 (1989-04-30) 1989年4月30日(73歳没)
出生地 日本の旗 日本兵庫県神戸市
職業 俳優エッセイスト
ジャンル 映画・テレビドラマ・舞台
活動期間 1942年1947年 - 1989年
主な作品
裸の島
人間
愛のコリーダ』(1976年)
楢山節考』(1983年)
受賞
毎日映画コンクール
男優主演賞
1962年人間
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殿山 泰司(とのやま たいじ、1915年大正4年)10月17日 - 1989年平成元年)4月30日)は、日本俳優エッセイスト

兵庫県神戸市出身。中央区立泰明小学校東京府立第三商業学校中退。終戦後の日本映画界において独特の風貌で名脇役として活躍した。ジャズミステリーをこよなく愛し[1]、趣味を綴った著書も多数残している。また、波乱万丈なその人生は、映画化もされている。

来歴

生い立ち

神戸の生糸商の長男として生まれる。幼名は殿山泰爾(たいじ)である。父親は広島県生口島出身[2][3]。6歳の頃に父親の事業が破綻して両親は別居。父とその愛人(泰司の義母となる)について上京し、東京都中央区銀座で少年時代を過ごす。このとき父と義母が出したおでん屋が、銀座五丁目から移転し今も日本橋で営業をつづける「お多幸本店」である。屋号は義母の名前からとられている。

繁盛店の跡取り息子として育つが、殿山は“義母が、実母から父親を奪った”と認識していたため義母に懐けなかった[1]中央区立泰明小学校卒業後、府立第三商業学校に入学するも素行不良によりほどなくして退学(後述)。1933年(昭和8年)に父が亡くなり、家業を継がねばならなくなりしばらくおでん屋で働くものの、その後店を弟に譲る[4]

役者デビュー

1936年(昭和11年)に家出した殿山は、研究生募集のチラシを見て俳優の道を志し[1]新築地劇団に入団。同期入団者に千秋実多々良純小山源喜がいる。薄田研二につけてもらった「夏目銅一」の芸名で初舞台を踏む[5]1938年(昭和13年)に劇団を一時退団し、同年復帰後は本名と一字違いの殿山泰二に芸名を変える。

1939年(昭和14年)、南旺映画の第一作『空想部落』(千葉泰樹監督)で本格的な映画デビューを果たす。1942年(昭和17年)に京都興亜映画に入所し、同年、内田吐夢監督作品『鳥居強右衛門』に出演。撮影終了と同時に召集されて出征し、その後は中国戦線を転戦する。

殿山泰司に改名

中国湖北省で終戦を迎えた殿山は復員後、興亜映画に所属していたスタッフや俳優を引き取っていた松竹大船撮影所で自身の所属を確認して俳優活動を再開、殿山泰司と芸名を改めて映画界に復帰する[5]新藤兼人脚本・吉村公三郎監督作品への出演を通じて彼らと交流を深め、1950年(昭和25年)に新藤、吉村が松竹を退社して「近代映画協会」を設立した際には創立メンバーとして参加した。

以後、新藤・吉村の監督作品の常連をつとめた後、その他の名だたる監督からも支持を受けて役者としてのキャリアを積み上げていく。新藤の『裸の島』では島の男の役で乙羽信子と共演(これは一言も喋らない、台詞の無い脚本)、同じく新藤作品の『人間』では漂流する漁船の船長役で、それぞれ主役をつとめた。『裸の島』はモスクワ国際映画祭グランプリを始め数々の国際映画祭で受賞し、『人間』で殿山はNHK映画賞主演男優賞、毎日映画コンクール男優主演賞を受賞した[1]

名脇役、エッセイストとして活躍

その一方、「お呼びがかかればどこへでも」をモットーに「三文役者」を自称して[1]、様々な映画に脇役として出演。巨匠の作品から児童教育映画、娯楽映画、日活ロマンポルノに至るまで名バイプレーヤーとして活躍した。独特な風貌や、巧妙な演技から性格、個性派俳優として黒澤明今村昌平今井正大島渚など様々な監督に重用された。また当時の役者にしては珍しくフリー[6]で活動していたため、五社協定に縛られることなく各社の映画に多く出演することができた。そのため73年の生涯で約300本に上る映画に出演し[1]、テレビにも頻繁に出演したため、その作品は膨大な数に上る。

1966年に「三文役者の無責任放言録」を刊行したのを皮切りに、その後エッセイを多数執筆。コラム連載を持ち、エッセイストとしても饒舌な素地となり、1970年代には「オレが」一人称で毒舌織り交ぜながら独特の口調で語るエッセイや自伝的文章を多数執筆し、トレードマークの禿げ頭、黒いサングラスをかけた殿山のイラストが添えられていた。

晩年とその後

1988年4本の映画に出演が決まった後がんが見つかり既に全身に回っていたが、今村昌平の『黒い雨』と神山征二郎の『千羽づる』の2本は無事に撮影を終えた。1本は出演を断念し、最後の気力を振り絞って残りの1本である堀川弘通監督の「花物語」に臨んだ。同作のロケが終わり帰宅しようとするが、自宅アパートまであと約500mの所で歩けなくなりそのまま入院した[1]

1989年(平成元年)4月30日に肝臓がんで死去した。享年73。墓所は鎌倉市浄光明寺と京都市正法寺

1991年盟友・新藤により「三文役者の死正伝殿山泰司」が出版。

2000年に新藤が殿山の生涯を映画化し、『三文役者』という題名で公開された。殿山を竹中直人が演じた。

人物

庶民役としての魅力・周りからの評価

作品の中で主に演じたのは庶民の役でしかもそのほとんどが脇役だったが、殿山はそれらの役をどこか哀愁漂う男たちとして人間味たっぷりに演じたことも、多くの監督に起用された理由の一つである[1]。各作品で印象的な演技を残し、そのなか大島渚監督の問題作『愛のコリーダ』では局部丸出しで演じたことで知られ、脇役ながら大きなインパクトを与えた[1]がほかのシーンを含めてこの作品は映画の芸術表現と法の合否が裁判所で長く争われた。

映画監督の内藤誠によると「生活感のある庶民を演じられる唯一無二の役者で殿山が出演するだけで作品にリアリティが出た。セリフが一言しかない役でもいつも全力投球なため私を含めどの監督からも愛された」と評している[1]

新藤兼人は殿山を『裸の島』の主演に起用した理由について、「殿山の庶民性を十分に見せるような、力の入った仕事をしてもらうのが願いだった。彼に主演という立場で力を発揮してもらえれば、この作品をさらに生き生きとした物にできる」と語った[1]

私生活

私生活では、復員後に始まった「側近」と呼ぶ女性と正妻の関係は没すまで続いた。離婚再婚がままならずに陥ったその滑稽な経緯については自著「三文役者あなあきい伝」、新藤兼人の『三文役者の死』に詳しい。臨終は「側近」が看取り、近映協と新藤兼人らが弔送を手掛けた。葬儀後には、殿山の遺骨は分骨が行われ[1]、墓所は親族とは分かれ、妻二人それぞれが供養の二箇所が建てられている。 神奈川県鎌倉市には正妻(最初の夫人)と子による家族の趣味、料理、陶芸、酒などを前面に押し出した店、居酒屋「との山」がある[7]

趣味など

  • かなりの女好きである。中学生の頃から玉の井吉原亀戸などの遊郭に通い出し、高校進学後も通い続けた[注 1]せいで退学。一説によると「生涯で抱いた女性は700人」とも言われている[1]。女好きになった理由として生前本人は、「幼少期の母恋しさから女好きになったんだ」と親友の新藤兼人に語っていた[1]。正妻は、殿山の女遊びについて「内向的な性格の反動。彼は本来誰よりも真面目な常識家」と評している。
  • 「趣味は酒」と言うほど若い頃から無類の酒好きで、飲みの席では“絡み酒”をすることで有名でよく映画論や美術論を語っていた[1]。正妻によると若い頃殿山は稼いだ金をほとんど家に入れず、若い役者を誘って飲みに出かけていたという。新藤兼人の息子で映画プロデューサーの新藤次郎によると、殿山は44歳の頃に肝炎を患い一時危険な状態になったことがあるとのこと[注 2]。ちなみに若い頃はウイスキーを愛飲していたが、肝臓を患ってからは節制してビールだけ飲むようになり深酒もやめた。
  • 大島渚から「大変な読書家」と評される[1]ほどの読書家やミステリー愛好家としても知られた。また、新宿ゴールデン街を愛し文士との交友も深く、殿山自身も文章を書くのも好きだった。上記の節制生活の後、酒を制限した代わりにエッセイの執筆に没頭するようになった。エッセイでの殿山の文章は「殿山調」と呼ばれ多くのファンを獲得した[1]。映画監督の内藤誠は、「殿山さんの文章はいい意味で目線が低く、書く言葉が柔らかいため読みやすく、独特の軽妙さが表れている」と評している。
  • ジャズが好きで、撮影オフにはジャズ喫茶など頻繁に現れてはチック・コリアなどの演奏を聴いて過ごした[1])

その他のエピソード

  • 本人は、「髪の毛がなくなってから役者として売れ出した」と語っていた[1]
  • 映画では禿頭にギョロ目という老人的な風貌が特徴的だったが、私生活は流行に敏感でお洒落であり、公私にジーンズにサングラスがトレードマークだった。特にジーンズにはこだわりがありLee(リー)を愛用していた[1]
  • 自著によると、日本映画衰退期で仕事が減った時には、家人に心配させまいと仕事に行くフリをして都内を彷徨っていた。
  • 映画だけでなくテレビドラマやバラエティにも引っ張りだこで舞台にも出た一方、「CMには出ない主義」として一切断っていた[1]
  • ファンからサインを求められると決まって「真実を求めて 殿山泰司」と書いた。

出演

映画

太字の題名はキネマ旬報ベストテンにランクインした作品

テレビドラマ

  • ミュージカルショー / 何処へ(1956年、NHK)
  • どたんば(1956年、NHK
  • 武智鉄二アワー 第4話「鳴神」(1956年、NTV
  • プレイハウス(1957年、NHK)
    • 月曜日の微笑
    • にせ金道中記
  • 東芝日曜劇場TBS
    • 第30話「海の蝶」(1957年)
    • 第43話「夜の波音」(1957年)
    • 第82話「国士無双」(1958年)
    • 第103話「マンモスタワー」(1958年)
    • 第113話「いれずみ」(1959年)
    • 第117話「軍艦」(1959年)
    • 第124話「総会屋錦城」(1959年)
    • 第134話「子を取ろ、子取ろ」(1959年)
    • 第197話「海の泡」(1960年) - 機関長
    • 第217話「白い風」(1961年)
    • 第220話「悪人往生」(1961年)
    • 第231話「ある夜の殿様」(1961年)
    • 第249話「鬼の夜ばなし」(1961年)
    • 第301話「襟裳岬」(1962年)
    • 第310話「少女」(1962年)
    • 第331話「続おゆき」(1963年)
    • 第364話「カルテロ・カルロス日本へ飛ぶ」(1963年)第18回芸術祭奨励賞受賞
    • 第469話「結婚という就職」(1965年)
    • 第614話「私のダイヤモンド」(1968年)
  • テレビ劇場(NHK)
    • 女房の秘宝(1958年)
    • 愛妻競争(1958年) - 安皿文吉
    • びっくりパーティー(1959年)
    • ハーモニカの歌(1961年)
    • 水仙と木魚(1962年)
    • 円朝暦(1963年)
  • お好み日曜座(NHK)
    • 閣下(1958年)
    • 生きかえった石松(1959年)
  • 東京0時刻(KR
    • 死体をかくせ(1958年)
    • 雪山は招く(1959年)
    • 証拠を残すな(1959年)
    • 出口はひとつだ(1959年)
  • ヤシカゴールデン劇場(NTV)
    • 悦子の笛(1959年)
    • 並木河岸(1959年)
  • 土曜劇場 最終話「平家館」(1959年、KR)
  • サンヨーテレビ劇場(KR)
    • にあんちゃん(1959年)
    • 羅生門(1959年)
    • 先生のこと(1959年)
    • 張込み(1959年)
    • 鱧の皮(1959年)
    • 貧乏さん(1959年)
    • いろはにほへと(1959年) - 黒河
    • 窓(1960年)
    • きょうあるいのち(1960年)
    • 世は抜き取り(1960年)
    • ふところ(1960年)
    • アゴ伝(1960年)
    • 血と虹(1960年) - 田辺曹長
    • 題名のないドラマ(1960年)
    • 女(1960年)
    • 姉妹(1960年)
    • どっちが笑う(1960年)
    • 危険のような(1960年)
    • 霧の中の少女(1960年)
    • 赤坂ふらんす亭(1960年)
    • 集団就職(1961年)
    • 大出世物語(1961年)
  • ドキュメンタリードラマ・裁判 / 娑婆の風(1959年、KR)
  • 雑草の歌(NTV)
    • 第55話「自分の墓」(1959年)
    • 第61話「色彩なき青春」(1959年)
    • 第92話「ふぐの季節」(1960年)
    • 第101話「明けがたの町」(1960年)
    • 第123話「父子寮」(1960年)
    • 第142話「ちぎれ雲」(1960年)
  • 三行広告 第9話「写真」(1959年、CX
  • ここに人あり(NHK)
    • 第96話「ミッキーの青春」(1959年)
    • 第99話「鶏と人間」(1959年)
    • 第126話「橋かける象」(1960年)
  • スリラー劇場・夜のプリズム 第27話「幽霊船」(1959年、NTV)
  • 人生はドラマだ 第4話「桜川忠七」(1959年、NTV)
  • サスペンスタイム 第3話「日光中宮祠事件」(1959年、NET
  • 三菱ダイヤモンド劇場 / ボロ家の春秋(1959年、CX)
  • ゴールデン劇場(NTV)
    • 三太はもう来ない(1959年)
    • 母の暦(1960年)
  • 私だけが知っている(NHK)
    • 橋の上(1959年)
    • 誘拐(1961年)
    • 赤いシャンデリア(1962年)
    • 波止場(1962年)
    • 雪の証言(1963年)
  • 慎太郎ミステリー・暗闇の声 / 分身(1960年、KR)
  • おかあさん(TBS)
    • 第22話「二十年目の母」(1960年)
    • 第35話「鳥かごの歌」(1960年)
    • 第67話「がらくた」(1961年)
    • 第90話「あれち野菊」(1961年)
    • 第94話「青空はいつ来る」(1961年)
    • 第115話「大人と子供」(1961年)
    • 第130話「お母さん失格」(1962年)
    • 第182話「噛みついたお母さん」(1963年)
    • 第357話「母の恋人」(1966年)
  • 日立劇場(1960年、KR)
    • 第26話「いびき」
    • 第29話「結婚披露」
    • 第35話「女医理恵子先生帰郷す」
  • グリーン劇場(KR)
    • 第5話「白い紐」(1960年)
    • 第16話「地平線がぎらぎらっ」(1961年)
  • 灰色のシリーズ 第32・33話「私は誰だ」(1961年、NHK)
  • テレビ指定席(NHK)
    • 北斗の子(1961年)
    • 分散屋篤造(1961年)
    • たった二人の工場から(1961年)
    • 喪われた街(1962年)
    • 聞いてくれみんな(1962年)
    • 砂丘(1963年)
    • ひとりばっちじゃない(1963年)
    • ちいさな生活(1963年)
  • NECサンデー劇場 / おんな(1961年、NET)
  • 山本周五郎アワー 第23話「わたしです物語」(1961年、TBS)
  • 日立ファミリーステージ(TBS)
    • 怒りの標的(1961年)
    • ぼろと札束(1962年)
    • 本阿弥辻の盗賊(1962年)
    • 目の中の茶色の空(1962年)
  • 夫婦百景 第194話「意地張り女房」(1962年、NTV)
  • 指名手配 第126 - 128話「通り魔」(1962年、NET)
  • 文芸劇場(NHK)
    • 第27話「太平洋の里」(1962年)
    • 第49話「彦六大いに笑う」(1962年)
    • 第53話「黒白」(1962年)
    • 第72話「清貧の書」(1963年)
  • お気に召すまま 第9話「挑戦者」(1962年、NET)
  • 松本清張シリーズ・黒の組曲(NHK)
    • 第24話「弱味」(1962年) - 赤堀
    • 第45話「殺意」(1963年) - 早川主任
  • 愛の劇場 第175話「汚れた海」(1963年、NTV)
  • シャープ火曜劇場 第75話「南風」(1963年、CX) - 林田助太郎
  • 近鉄金曜劇場(TBS)
    • 花の詐欺師(1963年)
    • 毒(1964年)
    • この子らにも明日が(1965年)
  • 判決(NET)
    • 第45話「明日への済度」(1963年) - 乙丸顕彰
    • 第126話「刑事八〇六号法廷」(1965年) - 青野十造
  • コメディフランキーズ 第13話「若い日の信長」(1963年、TBS)
  • 浪曲ドラマ / 佐渡の恋唄(1963年、NHK)
  • 日本映画名作ドラマ(NET)
    • 山の音(1963年)
    • 浮草(1964年)
    • 待ちぼうけさん(1964年)
    • 貰いっ子(1964年)
  • ポーラ名作劇場 第42話「噂の武士」(1963年、NET) - 下僕半蔵
  • こども劇場 第40話「人道塾物語」(1964年、NHK)
  • 三匹の侍 第1シリーズ 第16話「白刃無情」(1964年、CX)
  • NHK劇場(NHK)
    • 新しい背広(1966年)
    • 野菜と女(1966年)
    • 泣くもんか二郎(1967年)
    • 芽吹く頃(1968年)
    • あなたの9.9平方メートル(1968年)
    • 入場無料(1971年)
  • 泣いてたまるか(TBS)
    • 第8話「ああ誕生」(1966年)
    • 第34話「ウルトラおやじとひとりっ子」(1967年)
    • 第57話「ぼくのお父ちゃん」(1967年」)
  • ザ・ガードマン 第48話「結婚の秘密」(1966年、TBS)
  • おはなはん(1966年 - 1967年、NHK)
  • 愛の歌(1967年、NTV)
  • 剣 第40話「魔性」(1968年、NTV) - 金猫の親分
  • 七人の刑事 第377話「銃口を向ける時」(1969年、TBS)
  • 五番目の刑事 (1969年、NET / 東映) - 野呂刑事
  • 時間ですよ(1970年、TBS)
  • 鬼平犯科帳 第2シリーズ 第6話「おしげ」(1971年、NET / 東宝) - 友五郎
  • 怪談 第1話「四谷怪談」(1972年、NET)- 宅悦
  • 長谷川伸シリーズ 第20話「髭題目の政」(1973年、NET)
  • 旅人 異三郎 第17話「秘めた慕情が霧雨に煙った」(1973年、12ch) - 了遠
  • 必殺仕置人 第15話「夜がキバむく一つ宿」(1973年、ABC) - 雲水
  • 狼・無頼控 第4話「地獄の罠」(1973年、MBS) - 和尚
  • 銭形平次(CX)
    • 第438話「大江戸二十四時」(1974年) - 六兵ヱ
    • 第655話「他人が泣いてくれた」(1979年) - 芳兵ヱ
  • ユタとふしぎな仲間たち(1974年、NHK) - 寅吉
  • ザ・ボディガード 第8話「作戦命令 宝石を奪還せよ!!」(1974年、NET) - 村田孝雄
  • おしどり右京捕物車 第20話「怨(うらむ)」(1974年、ABC) - 与兵衛
  • けんか安兵衛 第22話「幼なじみ」(1975年、KTV
  • 松本清張シリーズ・愛の断層(1975年、NHK) - 伊牟田探偵
  • 鬼平犯科帳 第18話「蛙の長助」(1975年、NET / 東宝) - 三浦屋彦兵衛
  • 非情のライセンス 第2シリーズ(NET / 東映
    • 第25話「兇悪の霧」(1975年) - 大上則之
    • 第66話「兇悪の振子」(1976年) - 九谷大造
    • 第85話「兇悪の刑事」(1976年) - 安西増次郎(安西組組長)
  • 新・座頭市(CX / 勝プロ
    • 第1シリーズ 第7話「わらべ唄が聞える」(1976年) - 甚左
    • 第2シリーズ(1978年)
      • 第2話「目なし達磨に春がきた」 - 達磨寺和尚
      • 第18話「こやし道」 - 和尚
    • 第3シリーズ 第15話「かかしっ子」(1979年) - 酒屋の主人
  • 隠し目付参上 第13話「右も左も真っ暗闇か」(1976年、MBS) - 根岸検校
  • ベルサイユのトラック姐ちゃん 第18話「京都の恋に裸はぬれる」(1976年、NET) - 板藤
  • 怪人二十面相 第9話「破れ! 変装の罠」(1977年、CX)
  • 特捜最前線ANB / 東映)
    • 第1話「愛の十字架」(1977年)- やくざの組長
    • 第96話「強奪・花のスーパーヤング!」(1979年)
  • 前略おふくろ様 第2シリーズ 第23話(1977年、NTV) - 斉藤
  • 横溝正史シリーズ / 三つ首塔(1977年、MBS) - 法然
  • 華麗なる刑事 第14話「雨の月曜日」(1977年、CX)
  • 大都会 PARTII 第28話「狙撃」(1977年、NTV) - 小島良造
  • 男たちの旅路 第3部 第1話「シルバー・シート」(1977年、NHK) - 曽根
  • 大河ドラマ(NHK)
  • 西遊記 第2話「長い旅の始まり」(1978年、NTV)
  • 土曜ワイド劇場(ANB)
  • 飢餓海峡(1978年、CX)
  • 破れ新九郎 第1話「砂塵の町に来た男」(1978年、ANB) - 法玄
  • 探偵物語 第6話「失踪者の影」(1979年、NTV) - 共栄商事社長
  • 体験時代(1979年、12ch)- 円海(かほりの父で蓮生寺の住職)
  • あ・うん(1980年、NHK)
  • 旅がらす事件帖 第1話「あれが噂の道中奉行」(1980年、KTV) - 弥七
  • 熱中時代 第2シリーズ 第13話「熱中先生 お化け退治」(1980年、NTV) - 秋守
  • 新五捕物帳 第128話「鯨とりの詩」(1980年、NTV)
  • 銀河テレビ小説(NHK)
    • まわりみち(1981年10月12日 - 10月30日) - 常次郎
  • 時代劇スペシャル / 着ながし奉行(1981年、CX) - 小助
  • プロハンター 第17話「南に消えた男」(1981年、NTV)
  • 鬼平犯科帳 (テレビ朝日 / 東宝)
    • 第2シリーズ 第8話「俄か雨」(1981年) - 嘉平
    • 第3シリーズ 第13話「男の毒」(1982年)- 伊助
  • 大江戸捜査網 第481話「連判状が招く姿なき殺人者」(1981年、12ch) - 市兵衛
  • 新・事件 わが歌は花いちもんめ(1981年、NHK)
  • 日本犯科帳・隠密奉行 久留米篇(1981年、CX) - 一平
  • 春が來た(1982年、ANB)(原作:向田邦子、演出:久世光彦)- 屋台のおやじ
  • 人間万事塞翁が丙午(1982年、TBS)
  • 噂の刑事トミーとマツ 第1シリーズ 第58話「七転八倒! トミマツの昇進試験」(1981年、TBS) - たばこ屋主人
  • 時代劇スペシャル 鼠小僧次郎吉 必殺の白刃(1983年、CX) - 長沢屋勘右衛門
  • 太陽にほえろ!(NTV / 東宝) - 平山源次
    • 第541話「からくり」(1983年)
    • 第580話「名人」(1983年)
    • 第670話「ドック潜入! 泥棒株式会社」(1985年)
  • 流れ星佐吉 第4話「恋と盗みの大勝負」(1984年、CX)
  • ニュードキュメンタリードラマ昭和 松本清張事件にせまる 第12回「天国に結ぶ恋 坂田山心中事件」(1984年、ANB)
  • うちの子にかぎって…パート2 第4話「骨まで愛して」(1985年、TBS)- 五十嵐宗一郎
  • 特命刑事ザ・コップ 第6話「さらわれた女を追え!」(1985年、ANB)
  • 水曜ドラマスペシャル / 松本清張スペシャル・支払い過ぎた縁談(1985年、TBS)
  • ドラマ人間模様 / 花へんろ 風の昭和日誌 第一章〜第三章(1985年 - 1988年、NHK)
  • 父の詫び状(1986年、NHK)
  • かあちゃん(1987年、ANB)
  • 火曜サスペンス劇場
  • 1・2・3と4・5・ロク(1988年、KTV)

ラジオ

舞台

  • 土(1939年、新築地劇団) - 村の男・番頭

著作

  • 『三文役者の無責任放言録』三一新書、1966、新版(以下略)角川文庫 1984、ちくま文庫、2000
  • 『三文役者のニッポン日記』三一書房、1967、ちくま文庫、2001
  • 『日本女地図 自然は、肉体にどんな影響を与えるか』光文社カッパ・ブックス、1969、角川文庫 1983
    • 自らの体験や伝聞を基に各地域の女性器の特徴をまとめたもので“昭和の一大奇書”と呼ばれ、それまでの殿山の著作とは異なる才能を世に知らしめた[1]
  • 『バカな役者め!!』講談社、1971、ちくま文庫、2001
  • 『三文役者あなあきい伝 PART1-PART3』講談社、1971-75、講談社文庫(上下) 1980、ちくま文庫(上下)、1995
    • のちに、「三文役者あなあきい伝」をもとに麦人が殿山に扮する舞台独談劇「タイチャン」が上演されている。
  • 『にっぽん・あなあきい伝』講談社、1975
  • 『JAMJAM日記』白川書院、1977、角川文庫 1983、ちくま文庫、1996
  • 『三文役者のニッポンひとり旅』白川書院、1977、ちくま文庫、2000
  • 『殿山泰司のミステリ&ジャズ日記』講談社、1981
  • 『殿山泰司のしゃべくり105日』講談社、1984
  • 『三文役者の待ち時間』(新編)、ちくま文庫、2003
  • 『殿山泰司ベスト・エッセイ』(大庭萱朗編)、ちくま文庫、2018

関係のあった人々

  • 新藤兼人
  • 吉村公三郎
  • 小沢栄太郎 - 殿山を興亜映画に誘った。
  • 乙羽信子 - 『愛妻物語』など共演作多数。殿山が憧れたエピソードが残っている。また徹子の部屋の殿山追悼回でゲストを務めた。
  • 今村昌平 - 『果てしなき欲望』『豚と軍艦』などで殿山を常連として起用。
  • 丸山定夫 - 新築地劇団代表。
  • 加藤嘉 - 新築地劇団時代を経て映画・テレビ共演が多い。殿山の著書では「(新築地劇団時代の若い頃は、)ハンサムでもてた、プレイボーイだった(略記大意)。」とされる。
  • 小津安二郎 - デビュー当時の殿山を好んで使う。
  • 大島渚 - 殿山の特異なキャラクターにほれ込んでいた。
  • 田中小実昌 - 殿山の飲み友達。風貌(シルエット)が殿山に似ているとされた。
  • 野坂昭如 - 殿山の飲み友達。
  • 花柳幻舟 - 殿山は彼女の大ファンだった。
  • 吉行淳之介 - 殿山のエッセイでたびたび解説を担当し、無頼派の流れを汲む彼の文章を高く評価していた[1]
  • 高英男 - 殿山の友人で、自身の舞台の演出を殿山に依頼したことがある。
  • 水森亜土 - 共演者として印象的なユニークな演技について、コラム記事(のち纏められた著書)に記している。

伝記

殿山の死の直後に評伝『三文役者の死』(岩波書店)を書いた新藤兼人は、それを原作にして2000年(平成12年)に映画『三文役者』を完成させた。殿山の役を竹中直人が演じている。

映画『三文役者』と同じ年に、声優麦人が独談(一人芝居)『タイチャン』というタイトルで舞台上演した。こちらも近代映画協会が協力している。

参考文献

  • 新藤兼人『三文役者の死 正伝殿山泰司』新版・岩波現代文庫
  • 殿山泰司『三文役者あなあきい伝』旧版・講談社文庫(上下)
  • 殿山泰司『三文役者の待ち時間』ちくま文庫

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 週刊現代2021年6月5日号「昭和の怪物」研究その120・殿山泰司「『三文役者』の眼差し」p25-32
  2. ^ 殿山泰司 『三文役者あなあきい伝 PART I』 講談社 1980年4月 35頁
  3. ^ 新藤監督と殿山泰司 ふたりの縁がとりもつ瀬戸田・因島・尾道
  4. ^ しかしその後弟は、獨逸學協會學校(のち獨協大学)に進学後応召してビルマで戦死した。
  5. ^ a b 殿山泰司、『日本映画俳優全集・男優編』、p.392-393.
  6. ^ 松竹映画退団後参加した近代映画協会は映画自主制作組織で俳優の人事権は無かった。
  7. ^ 新藤兼人著作「三文役者の死」に拠ると実子はなく、それぞれの妻血縁から養子を迎えた。
  1. ^ 16歳の時に玉の井遊郭で筆おろしを済ませた[1]
  2. ^ 殿山が『裸の島』の撮影前に医師から「死にたければやりなさい」とさじを投げられたが、どうしても彼の主演映画を取りたい新藤兼人は撮影を強行した。しかしロケ地の島には酒はおろか食堂すらなかったため、自然と断酒と粗食生活となり結果的に殿山は危機を脱したとのこと[1]

外部リンク