藤田孝典
藤田 孝典(ふじた たかのり、1982年[1] - )は、日本の社会福祉士、生活困窮者支援ソーシャルワーカー[2]。
略歴
茨城県出身。東京国際大学を卒業後、ルーテル学院大学博士前期課程を修了[1]。
2006年10月にNPO法人「ほっとポット」を設立、2011年5月に代表理事を辞任[3]。後任の宮澤進は辞任について、あまりに急であり、社会的責任を果たさず期待を裏切る結果となったことを藤田に代わり謝罪した[4][5]。その後、NPO法人「ほっとプラス」を開設し、2020年1月まで代表理事を務めた。現在は理事職を務めている[6]。
また、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言において給付金の再支給を政府に求めるべく署名活動を行なっているほか[7]、Twitter上にて「Twitter一揆」と題し給付金関連で政権を批判するハッシュタグを拡散するいわゆる「Twitterデモ」とよばれる投稿を毎日20時に行なっている[8]。この運動は政府が一律給付金を再支給するまで続けるとしている[9]。
役職
過去の役職
批判
貧困ビジネス
『選択』は藤田が過去に貧困ビジネスを行っていたと報じている[4]。
さいたま市議会議員の吉田一郎は、以下の行為が貧困ビジネスではないかと主張している[12][13]。
- 生活保護の申請支援、申請同行及び審査請求、不服申し立て手続の支援を『生活まるごとコーディネートサービス』と称して4万2000円で行っていた[12]。
- 吉田は、非弁行為として法律に抵触するとしている[12]。
- 8万円程度で一軒家を借りてグループホームという形式で運営し、1軒に5人程度ホームレスを住まわせて市からの住宅補助4万7000円と入居者から共益費として1万円を受け取っていた。吉田は、毎月20万円程度の粗利が上がっていたと見ている[13]。
- そうした住居を15軒所有し3年間で2000万円以上利益を上げていた[13]。
- 代表も役員報酬として413万円を受け取っていた[12]。
参議院議員の片山さつきは参議院の総務委員会で、以下のように発言している[14]
・・・お手元に配らせていただいているこの「ほっとポットとは」、「生活まるまるコーディネートサービス利用契約書」。実は、このほっとポットの代表理事の方は、今、生活保護の審議会、政府の審議会、厚生労働省の審議会の委員なんですよ。ところが、この方は、生活保護者に帯同し、場合によってはその審査請求や不服申立ての手続支援をするという、これ普通書かないですよね、弁護士法七十二条、七十三条、行政書士法十九条、普通書かないですよ。でも、書いちゃって、お金を四万二千円取っておられるんですね。・・・地方自治体や、本当にプロとして、士業として認められた人たちの意見をきちっと聞いてならいいですが、位置付けがはっきりしないNPOが、本当にボランティアで親切心だけならいいんですよ。だけれども、じゃ、何で一件四万二千円が必要なのかということを誰でも思うので、この件は、実はこの起こった政令市において議会で問題になっているんですよ。それに対して政令市の担当局長が何と答えているか、こういう方々が一緒に付いてきても何のメリットもありませんと答えているんですよ。つまり、こういう方々が付いてこようが付いてこまいが、生活保護は自分で申請するものですから、変わらないと。・・・
補助金
吉田は2012年、ほっとポットが不当に補助金を受けているとして、監査請求を提出している[15]。
SNSでの言論
2020年8月1日、藤田のSNSにおける問題的な言動に対し、SWASH(Sex Work And Sexual Health)、ナイト産業を守ろうの会、ハピママメーカープロジェクトの3団体が発起団体となり、反貧困ネットワーク、反貧困ネットワーク埼玉宛に、8月17日を回答期限とした「藤田孝典氏のSNSでの言動に関する抗議書」、埼玉社会福祉会、日本社会福祉士会宛に「藤田孝典氏のSNSでの言動に関する嘆願書」がそれぞれ提出された[16]。
その後、8月10日に先述でのSWASHのツイートに引用する形で、「何度も繰り返したくないが、ピンプ(性風俗業者、性搾取斡旋業者)は新型コロナ対策を契機に廃業してください。男性たちももうコロナ以前のように風俗店、買春サイト、デリヘルで買春しないでください。人の不幸を利用したり、生み出す元凶を温存するのではなく、真剣に解消に向けて協力ください[17]」と反論。
8月17日、SWASHは反貧困ネットワーク、反貧困ネットワーク埼玉が、この問題に関して対応を検討している返信が来た事をTwitterで報告。また、日本社会福祉士会からは埼玉県社会福祉士会で受付、対応する旨の返信が来た事も明らかにした[18] [19]。
著作リスト
単著
- 『ひとりも殺させない - それでも生活保護を否定しますか-』(堀之内出版、2013年)
- 『下流老人 - 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書、2015年)
- 『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書、2016年)
- 『続・下流老人 一億総疲弊社会の到来』(朝日新書、2016年)
- 『貧困クライシス 国民総「最底辺」社会』(毎日新聞、2017年)
- 『中高年ひきこもり―社会問題を背負わされた人たち―』 (扶桑社新書、2019年) 』
- 『棄民世代 政府に見捨てられた氷河期世代が日本を滅ぼす』(SBクリエイティブ、2020年)
共編・共著
- 『反貧困のソーシャルワーク実践 NPO「ほっとポット」の挑戦』(金子充との共編著、明石書店、2010年)[20]
- 『ブラック企業のない社会へ - 教育・福祉・医療・企業にできること』(今野晴貴・棗一郎・上西充子・大内裕和・嶋﨑量・常見陽平・ハリス鈴木絵美との共著、岩波ブックレット、2014年)
- 『知りたい! ソーシャルワーカーの仕事』(木下大生との共著、岩波ブックレット、2015年)
- 『未来の再建 暮らし・仕事・社会保障のグランドデザイン』(井手英策・今野晴貴との共著、ちくま新書、2019年)
- 『闘わなければ社会は壊れる〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(今野晴貴との共著、岩波書店、2019年)
- 『福祉は誰のために ソーシャルワークの未来図』(鶴幸一郎・石川久展・高端正幸との共著、へるす出版、2019年)
論文等
脚注
- ^ a b c d e f Amazon 著者ページ
- ^ “藤田孝典の記事一覧 - 個人”. Yahoo!ニュース. 2021年3月23日閲覧。
- ^ 反貧困のソーシャルワーク実践―NPO「ほっとポット」の挑戦― (日本語) 単行本. 明石書店. (2010/5/28)
- ^ a b 「下流老人」ブームの火付け役に 「貧困ビジネス」の過去
- ^ a b “代表理事交代のお知らせと新生ほっとポットのStart”. 〝HotPot ブログ″. 2021年3月22日閲覧。
- ^ 特定非営利活動法人ほっとプラス2019年度事業報告書等 2020年8月9日閲覧
- ^ “「2度目の定額給付金を」 7万人超が署名、政府否定的”. 時事通信社. (2021年1月20日)
- ^ 10万円給付金求めるTwitterデモ 開始から1ヶ月を迎える #一律給付金はまだか と連日続く声
- ^ Twitterのプロフィール文
- ^ @fujitatakanori (2020年5月3日). "聖学院大学、北海道医療大学、四国学院大学の客員准教授、臨床教授、学長特別補佐などは非常勤教員の名称。". X(旧Twitter)より2020年5月4日閲覧。
- ^ “第1回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会議事録 |厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2020年5月2日閲覧。
- ^ a b c d さいたま市議会議事録 2012/3/16
- ^ a b c さいたま市議会議事録 2012/6/12
- ^ “国会会議録検索システム”. kokkai.ndl.go.jp. 2020年5月2日閲覧。
- ^ 埼玉県監査委員告示第十四号 (PDF)
- ^ “反貧困ネット、社会福祉士会に、抗議書、嘆願書を3団体で提出しました”. SWASH. 2020年8月5日閲覧。
- ^ @fujitatakanori (2020年8月10日). "ピンプ(性風俗業者、性搾取斡旋業者)は新型コロナ対策を契機に廃業してください。". X(旧Twitter)より2020年8月10日閲覧。
- ^ @swash_jp (2020年8月17日). "昨日、反貧困ネットと反貧困ネット埼玉の方々より、現在この問題についてご検討頂いているとのご連絡を頂きました。". X(旧Twitter)より2020年8月18日閲覧。
- ^ @swash_jp (2020年8月17日). "埼玉県社会福祉士会で受付、対応することになるそうです。埼玉県社会福祉士会からのお返事もお待ちしています。". X(旧Twitter)より2020年8月18日閲覧。
- ^ 明石書店
出典
- 『下流老人 - 一億総老後崩壊の衝撃-』(朝日新書、2015年)
関連項目
外部リンク
- 特定非営利活動法人ほっとプラス
- 藤田孝典 (@fujitatakanori) - X(旧Twitter)
- 藤田孝典 (takanori.fujita.5) - Facebook
- 特定非営利活動法人ほっとプラス - 内閣府NPO法人ポータルサイト