抽出
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抽出(ちゅうしゅつ、extraction)とは、化学的分離操作法のひとつで、液体または固体の原料を溶剤と接触させ、原料中に含まれている溶剤に可溶な成分を不溶または難溶性の成分から選択的に分離する操作をさす。
具体例
コーヒーや茶を淹れる、鰹節や昆布から出汁を取るなど日常的に広く行われているものから、植物から微量成分を取り出すなど学術的な利用もされるほか、ファインケミカルやウランの分離など工業にも用いられる。
化学的方法
抽出には、大きく分けて植物などの固体から目的成分をよく溶解する溶媒を使って抽出する方法(固液抽出、溶媒抽出法)と、混じり合わない二つの溶媒を用いてそれぞれの溶媒に対する溶解度の差を利用することで行う方法(液液抽出、分液ともよばれる)の2種がある。
一般に、抽出によって得られた物質は、目的物質の他にも化合物を含むことが多い。したがって、純度の高いものが必要な場合には、さらに別の精製法(蒸留、逆抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶等)を行う必要がある。
液液抽出(分液)
主に用いられる溶媒系は水と非極性有機溶媒であり、反応混合物中から塩を取り除くことができる。通常、有機溶媒は水よりも密度が小さく、二層に別れたとき上層に来るのが有機層であり、下層に来るのが水層である。(ただし、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒は水よりも比重が大きいので下層となる)。
有機溶媒に可溶な化合物の回収を目的とする場合の主な手順は次のようになる。
- 混合物を適量の有機溶媒に溶かし、分液ロートに移す。
- 適当な量の水を分液ロートに加える。
- 十分に混合し、平衡状態になるようにする。
- 下のコックから下層(水層)を別の容器(フラスコ等)にあけ、上層(有機層)を上から別の容器にあける。
- 水層を分液ロートにもう一度入れ、適量の有機溶媒を加えた後、3. および4. を数回繰り返す。
- 有機層を集め分液ロートに入れ、飽和食塩水を適量加え、十分に混合する(残存する水分を低減するため)。
- 下層(飽和食塩水相)と上層(有機層)を分けて、有機層を硫酸ナトリウム等で乾燥し、溶媒を留去する。
固液抽出
固体からの成分を抽出したい場合、一般的には試料を溶媒に浸漬し、可能でれば加熱・攪拌する。成分によっては抽出剤としてキレート剤や酸・アルカリなどを加える。試料が少ない場合は、ソックスレー抽出器を用いれば、より少ない溶媒で、短時間で効率よく抽出することができる。