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馬可傳第七章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

この翻訳には差別語が含まれていますが、歴史的著作物であることを考慮し、原文のまま掲載いたします。

第七章

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[1] パリサイの人とヱロソルマよりきたりしある學者がくしやども 耶穌にあつまりきたり
2 その門徒でしのうちにつねのすなはちあらはざるにてぱんしよくするをみて これをとがめたり
3 いかにとなれば パリサイひとユダヤひと〴〵はみな古人こじんのいひつたへをまもりてそのをたび〳〵あらはざれは[ば]しよくせず
4 またいちよりかへればあらはざればしよくせず またほかにさかづきわんなべはんだいをあらふなどいろ〳〵のことをつたへまもれり
5 パリサイひと學者がくしやどもゝ耶穌につひけるは なんぢのでしは古人こじんのいひつたへにしたがはずして つねのにてぱんを食するはなんぞや
6 耶穌こたへてかれらにいひけるは ヱザヤ僞善者ぎぜんしやのなんぢらをさしてよく預言よげんせり そのしるされしことに このたみくちさきにてわれをたつとめども そのこゝろはわれにとほざかり
7 しかしながらかれらはひとのいましめををしへとなして ひとをしへていたづらにわれをまつる
8 それかみのいましめをすて ひとのいひつたへをまもり すなはちなべさかつ[づ]きあらふこと またしゆ〴〵のこのたぐひのことはなんぢらおこなへばなり
9 またかれらにいひけるは なんぢらおのれのいひつたへをまもらんとて よくかみのいましめをすつ
10 これモーセのいひしになんぢちゝなんぢはゝをうやまへ またおよそちゝあるひははゝをのゝしるものはころさるべし
11 されどもなんぢらのいふに もしひとちゝはゝに われあなたに供養くやうすべきものはコルバンなりといへばゆるさるべしといふ コルバンやくすれば供物そなへものなり
12 しかればなんぢらかれにそのちゝあるひはそのはゝ扶助ふじよすることをすこしもゆるさず
13 かくなんぢらがをしへしところのつたへによりてかみのことばをむなしくし またこのたぐひのことをさま〴〵おこなふ
14 耶穌またひと〴〵をよびてかれらにいひけるは めい〳〵われにきゝてさとれ
15 ひとのそとよりしてこれにいるものはひとをけがすべきものにあらず しかしひとよりいづるところのものはこれひとけがすものなり
16 みゝありてきこゆるものはきくべし
17 耶穌ひと〴〵にはなれていへいるにその門徒でしたとへのことをとひければ
18 かれらにいひけるは なんぢらもまたさやうにさとらざるものか およそそとよりひとにいるものはひとをけがすことあたはずといふことをさとらざるか
19 いかにとなればそのこゝろにいらずしてはらにいり すべての食物しよくもつをきよくするかはやにいづ
20 またいひけるは ひとよりいづるものはこれひとをけがすものなり
21 いかにとなれば 惡念あくねん 姦淫かんいん 邪淫じやいん 凶殺きようさつ
[22] 盗竊とうせつ 貪欲とんよく うらみ 僞計いつはり 好色こうしよく 疾視そねみ 惡口あくこう 高慢こうまん おろかなることなどはうちすなはちひとのこゝろよりいづる
23 これらのあしきことはみなうちよりいでゝひとをけがすものなり
24 耶穌こゝをたつてタイロシドンのさかひにいり いへにはいりてひとにしらるゝをほつせざれどもかくれえざりし
25 すなはち惡鬼あくきにとりつかれしいとけなきむすめをもちたるをんな かれのことをきゝしかばきたりて そのあしもとにふせり
26 このをんなはサイロピニシヤにうまれしヘレネのものなりしが わがむすめの惡鬼あくきをおひいだしたまへと耶穌にねがへり
27 耶穌かれにいひけるは まづ小兒こどもにはきさすべし いかんとなればどものぱんをとりていぬになげるはよろしからず
28 をんなこたえてかれにいひけるは しゆしかり されどもだいのしたいぬにても小兒こども食屑たべかすしよく
29 耶穌をんなにいひけるは このことばによつてかへれ 惡鬼あくきなんぢのむすめよりいでたり
30 をんなそのいへにかへれば 惡鬼あくきすでにいでゝ むすめはとこにふしたるをみたり
31 耶穌またタイロシドンのさかひをさりデカポリスのさかひのうちをすぎ ガリラヤうみにつけり
32 ひと〴〵つんぼにして訥者どもるものを耶穌につれきたり をこれにつけたまへとねがひたり
33 耶穌これをひと〴〵より他所わきにつれてゆびをそのみゝにさしいれ またつは[ば]きしてそのしたにさはりて
34 てんをあふぎたんじてそのひとに ヱツパタといふ やくすればひらかれよといふなり
35 たゞちにそのみゝひらかれ したのすぢゆるみて はつきりとものいへり
36 耶穌かれらにひとにいふなかれといましむればいましむるほど ます〳〵いひふらしたり
37 またことのほかにあきれていひけるは このひとはこと〴〵くによくなされたり 聾者つんぼをきこゆるやうになし また啞者おしをよくものいふやうになせりと