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閲覧/ウェブ/閲覧用アクセシビリティ

From mediawiki.org
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ウィキメディアのプロジェクト群では、言語やスクリプトに無関係に、インタフェースのアクセシビリティを確保し読みやすくする必要があります。 この件は、多数派ばかりでなく特別なニーズのある個人も対象にしています。 現状のデスクトップ版でもモバイル版でも、 タイポグラフィ(字組み)は可読性を阻害しています。 また、夜間モード(night mode)を使うと周辺が暗くても読みやすく、またコントラストを下げた読書環境を好む利用者の役に立つはずです。 現状では、この機能をインタフェースに盛り込んでありません。

既定の字組み(タイポグラフィ)を変更したいと考えます。 タイポグラフィと夜間モードに関してはこれに加えて個人設定にも組みこむ予定です。 これらの変更は利用者がログインしていてもログアウトでも、利用できます。

プロジェクトの概要

23/24 年次計画の一環として、全利用者向けに表示設定が使えるようにすること、全ウィキの既定のタイポグラフィ(字組み)を変えることをウェブチームの目標としています。全ウィキ利用者向けに既定の書体を大きめに、行の高さを増やす予定です。これらの増大により、過半数の利用者にとって可読性が向上すると見込まれます。当チームでは新しい表示メニューの開発によりページ幅とタイポグラフィ、来たるダークモードの制御を可能にする傍ら、この展開に取り組み – 利用者が文字の大きさを旧来の既定値に戻したくなったら、今よりも簡単に調整できるようにします。

担当チームの計画ではすべてのウィキ群を対象に 協議を始めたいとしており、焦点は既存の機能のバグ解消と将来の機能強化を展望した発想の創出です。それらを受け、チームは実装に向けて作業し、表示メニューを利用者全員に提供、新しい字組み(タイポグラフィー)は既定ではログイン利用者限定とする予定です。実装は2段階で進行し、まず試験用に小さなウィキ群を対象としてから、すべてのウィキに変更を実施します。

既定の文字組みを見直そうという結論の下敷きには、調査研究の成果と可読性の推奨値があります。現状で読みやすさに関してWCAG の文字サイズ推奨値は最小 16 ピクセル、同じくAAAは 18 ピクセルを推奨します。一方で私たちの既定値は 14 ピクセル。もっと読みにくいということです(長文を提供する類似のサイトで推奨値を採用する場合と比べた場合)。他方、流し読みしやすいかどうか(ページをざっと読んでほしい情報をすばやく探し出せるかどうか)はウィキペディアにとって重要な要素であるとも理解しており、文字サイズを新しくしても、字組みの密度はあまりいじらないほうが良いと認識しています。そこで 16 ピクセルを新しい期待値の候補にしました。根拠は以下のとおりです。

  1. 読みやすさの調査、学術研究と市場調査:これらの情報源によると一般論として文字サイズは大きいほど良いとのことです。
    1. 長文を読ませるウェブサイトの大半は(たとえば報道のウェブサイトやSNSなど)16 から 18 ピクセルの範囲で決めています。ウィキペディアに特化して文字を大きめにする実験2件によると、調査者は文字が大きくなると理解度が上がると結論しています。
    2. チーム独自の調査によると、1回に読む時間はおよそ20–30秒です。これでは文字組みを変えようかどうしようか判断するには短すぎます。今回の選択肢は既定値を改めることで、ほとんどの人にとっては苦労せずとも読みやすくなるという利点をもたらします。
  2. アクセス性の推奨
  3. コミュニティから提案を受けた設計:13 種のウィキペディアのログイン利用者632名から設計案を受け取り、それぞれが快適と感じる字組み(タイポグラフィー)の設定を提出されました。既定値を引き継ぐとした提案は多かったものの、文字(フォント)を大きめにしたいという提案が大多数を占めました。

更新情報

2024年6月: 文字種とダークモードの展開、グローバル機能の追加

今月前半:表示メニューを利用者全員に展開、ログアウト利用者向けに文字種を変更

6月初旬、ログアウトした利用者を対象に、2022年版ベクター外装で既定の文字サイズを拡大しました。この実装の詳細はこちら。今後、4、5ヵ月のうちにログイン利用者で標準サイズに変えた人数を調べ、はたしてログイン利用者にも同じ変更が妥当かどうか協議に移る予定です。

表示メニューにグローバルな個人設定を

文字サイズ、ページ幅、配色の変更を全てのウィキで選択可能にしました。操作はグローバル個人設定でお願いします。質問をくれた皆さん、たいへんお待たせしました。

ダークモードがベータ版を卒業!

  • ダークモードはウィキペディアのログイン利用者全員、また一部のウィキペディアではログアウト利用者にも提供が始まります。手順として最初にモバイル ウェブ版に、それを追ってデスクトップ版に適用します。既定は「ライトモード」を保ち、利用者はダークモードまたは自動モードを選択するよう呼びかける予定です。
  • ダークモードが利用可能な観衆は、どのウィキを利用するかで変わります。
    • 第1層と第2層:ライトモードと比べるとダークモードで複数の課題が目立たないウィキ類のこと。これらのウィキではログイン利用者とログアウト利用者の両方にダークモードを適用。ただし、まだテンプレート内に小さな問題が残っている可能性はあります。これらの問題の報告方法も追加しておき、編集者の皆さんと協力してテンプレートの修正を継続していきます。
    • 第3層のウィキペディア:ライト・モードと比べてダーク・モードの問題件数が多いウィキ類。これらウィキでは、ログイン利用者のみダーク モードを提供します。利用者が全員、ダーク・モードを利用できるようにしたいと考えています。ところが一部のウィキ では、コミュニティに作業してもらってテンプレートを適応させる必要がまだ残っています。これらのウィキ類にも上記のグループと同様、残っている問題の特定に役立つように問題報告のリンクを提供します。
  • 現時点で展開の予定は以下の日程を立てています。
    • 7月1日の週:モバイル版ウェブサイト(外装はMinerva)を第1群ウィキペディアに展開
    • 7月15日の週:
      • すべてのウィキペディアで、ウェブサイトのデスクトップ版に展開 (Vector 2022年外装)
      • モバイル版のウェブサイト:第2層のウィキペディアではログインしてもしなくても有効、第3層のウィキペディアではログイン利用者限定。

ダークモードの作業を継続

次に、ダーク・モードはデバイスの設定に基づいて自動的に有効にします。またログアウト利用者がすべてのウィキ類でダークモードを利用できるようにしたいと考えています。その実現には引き続き、皆さんのご協力が必要で、テンプレートと色を更新してダーク・モードでアクセスできるようにしていきましょう。これまでと同様、ダークモードに関する問題を見つけたら、どなたでも報告してください。協力の方法はよくある質問従来のお知らせで詳細をご覧ください。ご質問はお気軽にお問い合わせください。

背景

この課題の取り組みはなぜ重要か

この数年をかけて、当チームではベクター外装2022年版を多くのウィキに導入しました。 その設計思想とは、閲読の体験をもっとよくするためでした。 目標はもう1つあり、既存の利用者にも快適な体験を提供しつつ新規の利用者がもっと参加しやすくできないかという点です。 しかしながら、可読性にはまだ当チームが提示できていない課題がいくつかあります。 当プロジェクトの下調べ中に認識した課題のひとつは、文字そのものの大きさでした。

可読性がより高い電子文書と比べると、デスクトップ版でもモバイル版でも私たちの読むスピードは落ちます。 すると読んだ文章を覚える能力にも波及します。 ここで忘れてはならないのは、読者はじっくり読むときと流し読みするときがあるという点です。[1] 文字組みを改善し、プロジェクト利用が前述のどちらの方式でも対応できるようにしたいと考えます。

同時に、私たちのデスクトップ版のサイトでは文字サイズの変更を認めておらず、利用者の快適性に適合しません。 そこで、特別なニーズや好みのある読者は代替策としてブラウザの機能に頼り文字サイズを変更しています。 これらの機能性はブラウザによっても異なり、私たちの利用者インタフェースも必ずしも適合していません。 ツール、ナビゲーションなどに問題を生じています。

年次計画の内容

財団2023/2024年次年計画から引用 

質の高い閲読体験を利用者全員に確保するため、ページ閲覧件数の15%について既定の経験を調整し、利用者個人ごとのニーズや制約に適合させること。

この主な成果(KR)の着目点は、私たちのインタフェースについて、必要に応じて個別のニーズに対応する機能を与えるかどうかです。 ここで述べる理論とは人々は自分たちのニーズに応じて調整できるインタフェースやウェブサイトで、他よりも関与していると感じるとするものです。 これに含まれる作業はダークモード、テキストや段落の密度調節(字詰め・行間)、文字サイズのカスタム化などが考えられます。 この適応は、一部はインターフェースが自動的に実行するもので – 一例として機能またはツールの適応版を作成すること、ダークモードがオンになるかどうか利用者が使うブラウザもしくはデバイスの設定を確認することが該当します。 あの事例では、この適応は意図的なカスタム化を伴います – 利用者が個別の場合ごとに(であっても限定的でない)既定以外の状態を選ぶ選択肢を設けます。 アクセシビリティ(利用可能性)の観点から考えた場合、アクセシビリティ向上のためにスタンドアロンでしか組めない機能に注力するのか、あるいは既定に設定できるかどうかを重視して今よりアクセシビリティを改善するのか、後者の場合は利用者の好みが異なってもカスタム化する選択肢を残すのか。 固有の数値「15%」を定めて、 iOS ウィキペディア・アプリの利用者が既定の経験にどう順応するか観察しました。 アプリの利用者の59%はテーマを既定以外に切り替えています。(ダーク、ブラック、セピア)

基本としたこの数値は予断に根ざしており、ウェブ上でウィキペディアを使う常習の利用者なら、閲読経験が変わってもじっくりと順応するだろうし、たまにしか使わない人とは異なるだろうと考えています。


目標

字組みの改善

当プロジェクトの目標は、以下のとおりです。

  1. 問題点を識別して理解を深めること。 字組みについてウィキ群にある現在の問題点を評価し分類すること
  2. サイトをもっと読みやすくすること。 モバイル版でもデスクトップ版でもサイトの可読性を改善すること
  3. 複数の言語や書字方式に適合する字組みを提供すること。 さまざまなコミュニティの知恵と支援を得て可読性を最適化すること
  4. 利用者が字組みを好みにカスタム化できるようにすること。 個人設定に文字設定をめぐる項目を導入すると有効な対象とは、特定のニーズを抱えたり好みの決まった人たち

夜間モード

  1. 暗い照明の下でも記事の可読性を改善する
  2. 夜間モードとその設定を見つけやすくして使えるようにする

日程表と作業段階

字組みの改善

段階 期間 説明
文献調べと調査 7月– モバイル版やデスクトップ版について研究者の主張を聞いて学びました。
試作版のテスト + コミュニティとの協議 10月– 前回のテストに参加した編集者のほとんどは文字サイズの拡大に反対ではありませんでした。 それぞれ出身のコミュニティが異なります。
ベータ機能の展開 2023年12月 字組みの改善はベータ版機能としてすべてのウィキに展開、コミュニティの皆さんに試用してみてフィードバックを投稿するようお願いしました
展開先はパイロット運用ウィキ テスト参加コミュニティと共同し、テストを繰り返す
コミュニティと協議する 4月/ 変更の予定と、質問の受付を告知。準備期間は 2-3週
展開先は全てのウィキ 5月/
  1. メニューは小グループのウィキ群に実装して、利用者がログアウトしてもログイン中でも表示し、既定で開いた状態とする(利用時は誰でもその場でメニューを折りたたみ可能)
  2. その1週間後にログインしたかしないかに関わらず、メニューはすべてのウィキ群で利用者全員に実装して、既定の表示は展開とする(利用者は全員、その場でメニューを折りたためる) all wikis
  3. 既定のタイポグラスィーはログアウトした利用者のみ変更
  4. 表示メニューの使用例を数値化、対象はログイン利用者全般とし、あわせて補完的なデータを収集

夜間モード

段階 期間 説明
技術面の評価 9月– 夜間モードの実装は、複数の発想の検討、採用する実装の決定を行いました。 夜間モード用ガジェット、アプリとダークモードなどをレビューしました。
コミュニティと協議する 夜間モードがきちんと機能するように技術系編集者の皆さんと協働して、コミュニティが管理するコードの調整を進めています(テンプレート類ほか)。
パイロット版の展開 3月– バージョン 1 はログイン利用者限定です。 モバイル表示では、高度なモード限定で利用可能。 デスクトップ表示では 「ベータ機能」。
全利用者向けに展開 未定 コミュニティが管理するコードの調整を完了、ログアウト利用者にも夜間モードが利用可能になります。

参加方法と連絡先

プロジェクトの評価

当プロジェウトの成否は定量的、定性的に測定します。 具体的には、以下の各点を検討の予定です。

  • 試作版の作成と開発は調査の裏付けを得て決定する
  • 利用者テストとコミュニティからの聞き取り調査に基づいて可読性の質的な改善を確認する
  • Ys よりも長いセッションのX% 以上でタイポグラフィをカスタム化してあること
    • 注記:変数は検討中(TBD)
  • 全セッションのX% 以上で夜間モードを採用していること
  • 読みの深さに顕著な変化がないこと

脚注