奉幣(ほうべい、ほうへい)とは、神に幣帛を捧げること。日本では神社などに幣帛を送ることが重視され、延喜式神名帳に記載された3132座の神には、神祇官よりの官幣か、国司よりの国幣が捧げられた。 また、特に重要な神社には天皇の使いである勅使を派遣して奉幣せしめることがあり、この使いの者のことを奉幣使という。その数は変動したが、11世紀中頃には二十二社となった。奉幣使には五位以上で、かつ、卜占により神意に叶った者が当たると決められていた。神社によって奉幣使が決まっている場合もあり、伊勢神宮には王氏(白川家)、宇佐神宮には和気氏、春日大社には藤原氏の者が遣わされる決まりであった。通常、奉幣使には宣命使が随行し、奉幣の後、宣命使が天皇の宣命を奏上した。 中世以降、伊勢神宮の神嘗祭に対する奉幣のことを特に例幣(れいへい)と呼ぶようになった。例幣に遣わされる奉幣使のことを例幣使(後述の日光例幣使と区別して伊勢例幣使とも)という。また、天皇の即位・大嘗祭・元服の儀の日程を伊勢神宮などに報告するための臨時の奉幣を由奉幣(よしのほうべい)という。