天領(てんりょう)は、江戸時代における江戸幕府の。天領は俗称であり、ほかに江戸幕府直轄領、徳川幕府領、徳川支配地、幕府領、幕領など様々な呼称がある。これらの呼び名は、正式な歴史用語ではない。 幕府直轄領は元禄以降、全国で約400万石あった。領地は日本全国に散らばっており、江戸時代を通じて何らかの形で幕府直轄地が存在した国は51ヶ国と1地域(蝦夷地)に及び、年貢収取の対象となる田畑以外に交通・商業の要衝と港湾、主要な鉱山、城郭や御殿の建築用材の産出地としての山林地帯が編入され江戸幕府の主要な財源であった。 幕府直轄地が「天領」と呼ばれるようになったのは明治時代からで、江戸時代に使われていた呼称ではない。大政奉還後に幕府直轄地が明治政府に返還された際に、「天朝の御料(御領)」などの略語として「天領」と呼ばれたのがはじまりである。その後、天領の呼称が江戸時代にもさかのぼって使われるようになった。 江戸幕府での正式名は御料・御領(ごりょう)だった。その他、江戸時代の幕府法令には御料所(ごりょうしょ、ごりょうじょ)、代官所、支配所(しはいしょ、しはいじょ)の呼び名もある。江戸時代の地方書では、大名領や旗本領を私領としたのに対して公領・公料、また公儀御料所(こうぎごりょうしょ)という呼称もあった。