だ
日本語
編集発音
編集助動詞: 断定
編集- 断定の意を表わす。体言、副詞及び一部の助詞・助動詞(接続形は)に接続する。なお、形容動詞を独立の品詞として認めない立場においては、語幹とされる名詞等に本助動詞が接続したものと説く。
- これは辞書だ。
- 明日は晴れるだろう。
- 佳作である。
- 仲のいい友だった。
- 述部の動詞、形容詞または動詞接尾辞のするを省略した文において、代わりに名詞述語文を成立させるために用いる助動詞。この構造はうなぎ文と呼ばれる。
- 「私はエスプレッソにする。」「私はアメリカンだ。」
- 明日から大阪へ出張だ。
- 会話などにおける疑問詞疑問文の文末について、疑問の語気を表す。のまたはんに後置するが、方言ではそのまま用いることもある。
- なんで出かけるんだ。何があるんだ。どこへ行くんだよ。
- 次に続く文に対する理由を表す。だから。
- 炬燵開きといっても、大したことではない。独身の貧しい彼のことだ。押入の片隅から、古ぼけた炬燵と薄い掛布団とを取り出し、ぱっぱっと埃を払い、炭火を入れれば、それでよい。(豊島与志雄「母親」)
- (主語を置かない修辞的構文として)強調や詠嘆を表す。
- 機嫌よく孫を抱く父であった。(≒父は機嫌よく孫を抱くのであった)
- 幕士には禁制の蘭書を机の下へかくして、父の眼をぬすんでは読み耽っている八十三郎だった。(吉川英治「松のや露八」)
- ずいぶんと丸くなった父だが、私たちが小さい頃は何かにつけ厳しく叱られたものだ。(≒父はずいぶんと丸くなったが)
- 屈託した毎日をくらす母だから、色々気まぐれな思ひもあつて、さういふ思ひの無意味なひとつにすぎないだらうと考へたのだ。(坂口安吾「老嫗面」)
- (口語, 文頭) そうだ。ねやよ、よね、ななどと共に用いるか、「だろ(う)」などの形で用いる。
- だよね。
- だったかな。
- 「え、山田って先週から学校休んでるの?」「なんだってさ」(あるいは「だってさ」)
活用
編集未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | 活用型 |
---|---|---|---|---|---|---|
だろ | だっ で |
だ | (な) | なら | ○ | 特殊型 |
- 連体形の「な」は、一般に助詞「ん」「の」や「ので」「のに」に接続する。文脈により、「こと」「もの」「ところ」「はず」「わけ」など、限られた語に続くこともある。
- そこで遊んでいる女の子は私の娘なんです。
- あの電車はどこから来たものなの?
- あんなおんぼろの建物がお屋敷なものか。
- いまだに旧式の設備が現役なところからも市の財政難がうかがわれる。
- 彼は金持ちなわけがない。
- ここが目的地な気がする。
- 顔が赤いので手を当ててみたが、まだ平熱な感じだった。
- 明日がテストなわりにはのんびりしてるね。
- ただし、形容動詞を認めない立場では、形容詞的性格をもつ一般の体言に接続する。
- 詳細な説明を受けた。
- 仮定形の「なら」には、「ば」を必ずしも付ける必要はない。
- そういうつもりなら(ば)、こちらにも考えがある。
語源
編集「である」の「る」の抜けた「でぁ」がつづまって生じた語。
類義語
編集派生語
編集助動詞: 過去
編集活用
編集未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | 活用型 |
---|---|---|---|---|---|---|
だろ | ○ | だ | だ | だら | ○ | 特殊型 |
接尾辞
編集- 形容動詞の活用語尾。
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | 活用型 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
(語幹) | だろ | だっ で に |
だ | な | なら | ○ | 口語 |
終助詞
編集- (おもに幼児語)悪態をつくときに用いる。
- いーだ。ふーんだ。あっかんべーだ。知りませんよーだ。
間投助詞
編集- (文節の後で)文中のポーズを示す。一般にねやよなどと共に用いる。
- それがだね、[…]
- 「さ。それがだ。実は今晩、見合いとか、なんとか重大な要件だから、至急居場所をつきとめて貰いたいと、実のところはこういう内々の警察には珍しい大そう粋なことで頼まれたのだよ」(坂口安吾「明治開化 安吾捕物 その十一 稲妻は見たり」)
- 疑わん、ほんとに思う。そこでだ、源助、ついでにもう一ツほんとにしてもらいたい事がある。(泉鏡花「朱日記」)