10円メール
10円メール(じゅうえんメール)は、株式会社NTTドコモが携帯電話用に開発し、GMOインターネットが運営するZERO(当初マスターネット[1])が運営を行っていたEメールサービス。命名の由来は携帯電話を使ったメールの送受信が2kバイトまで10円で行えたことによる。
概要
編集1997年(平成9年)5月1日にサービスを開始した[2]。メールアドレスのドメイン名にはマスターネットが所有する「mnx.ne.jp」が使われた。
本サービスの登場以前に、DDIポケットのPメール、IDOのプチメールなどのショートメッセージサービス(SMS)が既に似たサービスを開始していたが、これらはいずれも携帯電話・PHS間でのメールのみが可能なものであり、本サービスは携帯電話と一般のインターネットメールとのメール送受信が可能なサービスとして当時画期的なサービスだった。
当時の携帯電話の通信料は16秒10円程度であったが、当時の通信事情では16秒間以内に携帯電話をパソコン等とつなぎ、ISPに接続し認証を行い、メールサーバを確認し、メールをダウンロードするのは不可能であった。特に認証を行う際の時間が最大の難関になっていた。そこで携帯電話の発信者番号通知を元に、携帯電話がアクセスポイントに着信する前に仮の認証を行い、その後着信をさせ、通常よりも認証の時間を短くするとともに、メールの送受信もセッションが張られる前にサーバ側で準備することにより、12秒以内に2Kバイト(1000文字分)のメールのやりとりができるようになった[3]。
サービス開始当初はパソコンとNTTドコモデータ通信カードを使って行っていたが、その後モバイルZやポケットボードといった安価なメール端末の登場により、ヒットにつながった。
後にiモードやスマートフォンのように携帯電話端末だけで安価にメールのやりとりができるようになったこともあって、2008年(平成20年)2月に10円メールを含むマスターネットのすべてのサービスが終了した。なお、法人向けに同様なサービスの機能を載せたMM-QUBEも存在していた。
10円メール端末
編集- ポケットボードシリーズ(ドコモむけOEM品として発売された端末)
- ポケットボード(シチズン製)
- ポケットボードPure(同上)
- ポケットボードPLUS(シャープ製)
- ポケットボードパレ(シチズン製)
- パクティー(シチズン製のドコモむけOEM品)
- ピーターパン(松下通信工業製のドコモむけOEM品)
- ディアロ(東芝製)
- モエムD(三菱電機製)
- モバイルギアシリーズ(NEC製)
- シグマリオンシリーズ(NEC製モバイルギアのドコモむけOEM品)
- ブラウザボード(シャープ製コミュニケーションパルのドコモむけOEM品)
- カラーブラウザボード(セイコー製のドコモむけOEM品)
- DataScope for DoCoMo(京セラ製)
- リブレットモバイルパック(東芝製)
- モバイルZ(シャープ製ザウルスのドコモむけOEM品)
- 1998年(平成10年)以降に発売されたザウルス(接続ソフトがプリインストールされた機種)
等
脚注
編集- ^ 東芝ビジネスエキスパート株式会社ビジネスソリューション事業部 編『東芝レビュー 53(10)(592)』東芝技術企画部、1998年10月、11頁 。
- ^ NTTドコモ 編『NTTDoCoMo テクニカル・ジャーナル 5(3)』電気通信協会、1997年10月、30頁 。
- ^ 「新サービス特集/10円メールのつながる仕組み ―発信者番号通知機能を利用したPC通信認証と接続時間の短縮―」『NTTdocomoテクニカル・ジャーナル VOL.5 NO.3』 1997年10月、NTTドコモ