悉曇学
概説
編集悉曇とは、サンスクリットのシッダム(siddham)を音訳した漢語である。狭義には母音字を指す言葉であるが、子音字も含めてサンスクリットを表す文字全般を称する場合もある。またシッダマートリカーという固有の文字体系の名称でもあり、6世紀のグプタ文字から発達したものをいう。
日本における悉曇学
編集日本では平安時代の安然が集大成した『悉曇蔵』(880年)があり、早期の悉曇学説をまとめている。『悉曇蔵』はサンスクリットのみならず音韻学を研究する重要な資料となっている。また明覚の『悉曇要訣』(1101年頃)は日本語を傍証として用いており、その日本語に関する記述が古代日本語の音韻を研究する際の貴重な資料となっている。また明覚には『反音作法』(1093年)という著作があり、早期の五十音図を伝えている。