伴信友
江戸時代の国学者 (1772-1846)
伴 信友(ばん のぶとも、安永2年2月25日〈1773年3月17日〉 - 弘化3年10月14日〈1846年12月2日〉)は、江戸時代後期の国学者。
ばん のぶとも 伴 信友 | |
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『国文学名家肖像集』に掲載された 伴信友肖像[1] | |
生誕 |
山岸 惟徳 1773年3月17日 (旧暦安永2年2月25日) 若狭国 |
死没 |
1846年12月2日 (旧暦弘化3年10月14日) 山城国 |
居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 | 国学 |
主な業績 | 古典の考証 |
影響を 受けた人物 |
本居宣長 本居大平 |
プロジェクト:人物伝 |
来歴
編集生い立ち
編集若狭国小浜藩の藩士山岸惟智の四男として生まれる。幼名は惟徳、通称州五郎。号は事負。天明2年(1786年)、同藩の伴信当の養子となる。
国学者として
編集享和元年(1801年)、村田春門を介して本居宣長没後の門人となり、宣長の養子本居大平に国学を学ぶ。文政4年(1821年)、病により家督を息子信近に譲り、以後学問に専念し江戸に住んだ。天保14年(1843年)の末頃、藩主酒井忠義に従い京都に赴き在住するが、堀川の京都所司代邸で急病となって死去した。享年74。墓所は小浜市発心寺。
研究
編集博覧強記で古典の考証に優れ、平田篤胤、橘守部、小山田与清とともに、「天保の国学の四大人」と呼ばれる。篤胤や黒川春村、本居内遠などと交流があり、篤胤からは君兄と慕われていたが、後に齟齬を来して決別した。師弟関係を好まず、弟子をとることはなかった。
顕彰
編集信友の生家近くで墓所のある発心寺の境内には、「伴信友翁の碑」がある。
主な著作
編集書名 | 成立 | 巻数 | 内容 | 伴信友全集収録巻 |
---|---|---|---|---|
神名帳考証 | 文化10年(1813年) | 全六十九巻 | 延喜式神名帳についての考証。 | 第一[※ 1] |
神名帳考証土代附考 | 第一[※ 2] | |||
神社私考 | 天保12年(1841年) | 全六巻 | 第二[※ 3] | |
瀬見小河 | 文政4年(1821年) | 全四巻 | 賀茂神社についての考証。 | 第2冊[※ 4] |
験の杉 | 天保6年(1835年) | 稲荷神社(伏見稲荷大社)についての考証。 | 第二[※ 5] | |
八幡考 | 第二[※ 6] | |||
蕃神考 | 外国渡来神を祭神とする式内社の考証。 | 第二[※ 7] | ||
正卜考 | 弘化元年(1844年) | 全三巻 | 卜占、亀卜などの考証[3] | 第二[※ 8] |
中臣祓祠要解 | 文政6年(1823年) | 第二[※ 9] | ||
神璽三弁 | 弘化3年(1846年) | 第二[※ 10] | ||
大刀契考 | 第二[※ 11] | |||
鎮魂伝 | 弘化2年(1845年) | 鎮魂祭の考証。 | 第二[※ 12] | |
長谷寺多宝塔銘文・長谷寺縁起剥偽 | 天保14年(1843年) | 第二[※ 13] | ||
上野国三碑考 | 天保7年(1836年) | 上野三碑の考証。 | 第二[※ 14] | |
竹栄秘抄 | 文政11年(1828年) | 第三[※ 15] | ||
宇知都志麻 | 第三[※ 16] | |||
高橋氏文考注 | 天保13年(1842年) | 『高橋氏文』の考証。 | 第三[※ 17] | |
松の藤靡 | 天保元年(1830年) | 第三[※ 18] | ||
残桜記 | 文政4年(1821年) | 上下巻 | 後南朝の考証。 | 第三[※ 19] |
荒山大捷之碑 | 第三[※ 20] | |||
中外経緯伝草稿 | 天保9年(1838年) | 全六巻 | 第三[※ 21] | |
仮字の本末 | 上下巻 | かなの起源を論じる。神代文字の存在を否定。 | 第三[※ 22] | |
応声考 | 文化3年(1806年)初稿 | 第三[※ 23] | ||
比古婆衣 | 弘化4年(1847年)より刊行 | 全二十巻 | 随筆。国史・言語・故事の考証。 | 第四[※ 24] |
長等の山風 | 上下巻 | 壬申の乱の考証。 | 第四[※ 25] | |
長等の山風 附録 | 全四巻 | 第四[※ 26] | ||
宝鏡秘考 | 内侍所神鏡の考証。 | 第五[※ 27] | ||
倭姫命世紀考 | 天保14年(1843年) | 『倭姫命世記』の考証。 | 第五[※ 28] | |
仏神論 | 文政2年(1819年) | 第五[※ 29] | ||
方術源論 (一名方術考説) | 文政5(1822年) | 第五[※ 30] | ||
周易私論 (原名易占弁) | 天保5年(1834年) | 第五[※ 31] | ||
論鬼神新論草稿 | 文化3年(1806年) | 第五[※ 32] | ||
若狭旧事考 | 文政8年(1825年) | 第五[※ 33] | ||
弓矢古義推考 | 第五[※ 34] | |||
麻々伎考 | 第五[※ 35] | |||
鞆考補証 | 第五[※ 36] | |||
神楽歌考 | 第五[※ 37] | |||
古詠考 | 第五[※ 38] | |||
表章伊勢日記附証 | 第五[※ 39] | |||
動植名彙 | 文政10年(1827年) | 全九巻 | 第五[※ 40] | |
動植名彙附録 | 第五[※ 41] | |||
和名抄鈔考 | 『和名類聚抄』の考証。 | |||
斉明紀童謡推釈 | 『日本書紀』斉明天皇紀に収録されている童謡の考証。 | |||
日本書紀考 | ||||
史籍年表 | 資史料年表(『史籍年表』[※ 42]) | |||
鈴屋翁略年譜 | 文政9年(1826年) | 本居宣長の年譜 |
脚注
編集注釈
編集- ^ 伴信友全集. 第1 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 8
- ^ 伴信友全集. 第1 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 317
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 23
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 121
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 195
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 221
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 225
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 244
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 308
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 327
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 331
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 343
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 357
- ^ 伴信友全集. 第2 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 365
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 7
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 18
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 29
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 63
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 74
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 92
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 94
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 199
- ^ 伴信友全集. 第3 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 252
- ^ 伴信友全集. 第4 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 7
- ^ 伴信友全集. 第4 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 234
- ^ 伴信友全集. 第4 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 265
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 6
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 19
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 65
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 70
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 84
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 92
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 95
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 111
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 120
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 125
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 136
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 141
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 145
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 165
- ^ 伴信友全集. 第5 - 国立国会図書館デジタルコレクション コマ番号 1
- ^ 史籍年表 - Google ブックス
出典
編集参考文献
編集- 秋山虔ほか編『日本古典文学大事典』第5巻、岩波書店、1984年 ※「伴信友」の項
- 市古貞次ほか編『国書人名辞典』第4巻、岩波書店、1998年 ※「伴信友」の項
関連文献
編集- 大鹿久義編『伴信友著撰目録:鈴屋門國學者』温故学会、1966年10月。
- 大鹿久義編『伴信友畧年譜稿』小浜市立図書館、1983年8月。
- 大鹿久義編『稿本伴信友著撰書目』温故学会、2003年8月。
- 森田康之助『伴信友の思想:本居宣長の学問継承者の思想』ぺりかん社、1979年2月。