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術数学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
術数学
繁体字 術數學
簡体字 术数学
発音記号
標準中国語
漢語拼音shùshùxué
風水羅盤

術数学(じゅっすうがく)は、前近代の中国とその周辺地域(東アジア)で発達した学問分野の一つ[1]術数数術数術学術数文化[2]ともいう。大まかに言えば「占い」「占術」とほぼ同義。具体的に言えば、風水占星術奇門遁甲などの総称。言い換えれば、五術のうちの命・卜・相の総称。

中国古来の数理哲学宇宙観陰陽五行思想八卦十干十二支天円地方天人相関説中国天文学英語版など)を基礎理論とする。

権謀術数」とは特に関係ない[2]

由来

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「術数学」という分野区分は、古代中国の図書分類法に由来する。具体的には、漢代図書目録である『漢書芸文志(またはその前身の『七略』)に由来する[2]。『漢書』芸文志は、漢代当時に存在した書物を六分野に大別して整理した。その六分野の一つが術数学である。この分野区分は、漢代以降も形を変えつつ継承された。具体的には、四部分類法の「子部」の下位分野として継承され、清代の『四庫提要』にも継承された。ただし、時代によって含まれる書物の範囲が変わることもあった[2][3]

術数学は、以上のような図書分類のために作られた分野区分である。そのような事情もあり、「術数学とは何か」という明確な定義は決まっておらず、学者によって様々な定義がある[2]

なお、漢代より前の先秦時代には、術数学にあたる分野は「方術」と呼ばれていた[4]。「方術」は、占いだけでなく鍼灸中国医学)や本草学なども含んでいたが、漢代以降分離された[4]

研究

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術数学は、近現代の中国学では長らくマイナーな研究対象だったが、20世紀末頃から21世紀にかけて注目されるようになった。

その経緯として、馬王堆帛書睡虎地秦簡といった出土文献に、術数学関連の文献が多く含まれていたこと(例えば『日書』と呼ばれる文献群[5])や、未調査だった術数学関連の写本(鈔本)や古刊本が調査されるようになったこと[6]、などの経緯がある。また日本では、戦後木村英一中村璋八安居香山山田慶兒坂出祥伸をはじめとする学者たちが、中国哲学史中国科学史において無視すべきでない要素として術数学を論じるようになった、という経緯もある[2]

内容・影響

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術数学の下位分野は多岐にわたり、中には必ずしも「占い」とは呼ばれない分野も含まれる。例えば、相馬術(良馬の鑑定術)は、風水人相占いと同様の「相術中国語版」として術数学に含まれる[7][3]

術数学は政治から日常生活まで、人間の様々な営みと結びついていた[8]。例えば、日選び雲気占中国語版は、合戦の勝敗を左右する要素として軍師などに重要視された。諸子百家兵家においては「兵陰陽家」が術数学を特に扱った。『孫子』は術数学から距離を起きながらも術数学の影響下にあった[3]諸葛孔明奇門遁甲を用いたとされる[9]

司馬遷の官職である「太史令」は、天文学に付随する術数学を職掌に含んでおり、『史記』には占術師の列伝「日者列伝」がある[10]

朱子学」の朱熹は『朱子家礼』で風水を肯定し、後世の儒者の風水観に影響を与えた[11]

術数学は、中国大陸だけでなく東アジア各地(台湾琉球諸島朝鮮半島ベトナム日本など)にも伝播した。日本の陰陽道の背景にも術数学があった[12]

易・風水・日選びなどは、現代でも東アジア各地で行われている(例えば高島易断[13]

下位分野

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脚注

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  1. ^ 清水 2016, p. 138.
  2. ^ a b c d e f 水口 2020, 「序」「総論 〈術数文化〉という用語の可能性について」.
  3. ^ a b c 椛島 2023, p. 267;279f.
  4. ^ a b 術数学-中国の科学と占術 « 京都大学人文科学研究所”. www.zinbun.kyoto-u.ac.jp. 2021年3月18日閲覧。
  5. ^ 大野 2014, pp. 26f; 工藤 2011.
  6. ^ 大野 2020a, p. 10-13.
  7. ^ 大野 2014, p. 122.
  8. ^ 大野 2020b.
  9. ^ 奇門遁甲』 - コトバンク
  10. ^ 加地伸行『「史記」再説 司馬遷の世界』中央公論新社〈中公文庫〉、2012年。ISBN 9784122052727 76;91頁。
  11. ^ 水口 2015, 第四章 儒教知識人による風水思想の「発見」過程──朱熹以前から朱熹以後へ.
  12. ^ 山下 2010, p. 29.
  13. ^ 大野 2020a, pp. 13–17; 三浦 1995.

関連文献

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関連項目

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伏羲女媧八卦などの発明者とされる。

外部リンク

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