[go: up one dir, main page]

ドラマ&映画 カテゴリ
ORICON NEWS
今季最大の注目作『ライオン・キング:ムファサ』どこがスゴイ? ディズニー映画のエキスパートが徹底分析!

 ディズニー史上全世界歴代No.1ヒットを記録した超実写版『ライオン・キング』(2019)。その“はじまり”を描く、ディズニー史上、最も温かく切ない“兄弟の絆”『ライオン・キング:ムファサ』が、いよいよ12月20日(金)に劇場公開される。前作で息子シンバを命がけで守った父ムファサ王と、ムファサの命を奪った“弟”スカー。知られざる若き日の兄弟の絆と、そこに隠された秘密とは。全世界が注目する話題作の魅力をディズニー映画のエキスパートうきたひさこ氏が解き明かす。
▼『ライオン・キング:ムファサ』あらすじ
両親と生き別れ孤児となった幼いムファサは、王家の血をひくタカ(のちのスカー)に助けられる。行動をともにする中で、血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれるムファサとタカ。ところが、冷酷な敵ライオン・キロスの襲撃によって、穏やかな日々が一転。群れを守るため、ムファサとタカは約束の地・ミレーレを目指して過酷な冒険の旅に出る。孤児から王へと自らの運命を切り拓くムファサと、彼の運命を変える“弟”タカ。旅の果てに待ち受ける真実とは――。
>『ライオン・キング:ムファサ』詳しくはコチラ!(外部サイト)

名作ぞろいのディズニー映画の中でも別格、『ライオン・キング』はディズニー最強のコンテンツ

『ライオン・キング:ムファサ』サブ1(サラビ・タカ・ムファサ・ヤングラフィキ)

約束の地・ミレーレを目指す一行。左からサラビ、タカ、ムファサ、ラフィキ。『ライオン・キング:ムファサ』より

 みなさんは『ライオン・キング』に、どんな思い出があるだろうか? 「物心ついたときから何度リピートしたかわからない」「親になってから子どもと一緒に観るようになった」「修学旅行で舞台版を観て感動した」など、多くの人が人生のどこかで一度は『ライオン・キング』に触れているはずだ。

 アニメーション版『ライオン・キング』が公開されたのは、1994年のこと。90年代は『美女と野獣』『アラジン』などが生まれたディズニーの黄金期として知られているが、この時代の頂点に立つのが『ライオン・キング』で、当時ディズニー史上最大のヒット作となった。

 そこから、ミュージカルの舞台やビデオ作品、テレビシリーズ、超実写映画へと広がっていくのだが、そのどれもが規格外の大ヒット。たとえば、1998年に開幕した劇団四季のミュージカル『ライオンキング』は、今も前人未到のロングラン記録を更新中で、“国民的ミュージカル”として親しまれている。また、2019年に公開された超実写版『ライオン・キング』は、あの『アナと雪の女王』を上回り、それまでのディズニー映画の興収記録をことごとく塗り替えた。

左からムファサとエシェ(タカの母)、タカ。『ライオン・キング:ムファサ』より

左からムファサとエシェ(タカの母)、タカ。『ライオン・キング:ムファサ』より

 30年の歴史のなかで、つねに進化し、ファン層を広げ続けてきた『ライオン・キング』。その裾野の広さは、他のどの作品も及ばない。名作ぞろいのディズニー映画のなかでも別格といえる最強のコンテンツなのだ。

 そんな『ライオン・キング』の世界に新たに加わったのが、超実写映画『ライオン・キング:ムファサ』。シンバの父ムファサが王になる前の物語だが、単なるスピンオフや前日譚ではないところがポイント。その魅力を紐解いていこう。
>『ライオン・キング:ムファサ』詳しくはコチラ!(外部サイト)

ファンなら絶対に見逃せない『ライオン・キング』はじまりの物語

両親に甘える幼いムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

両親に甘える幼いムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

 『ライオン・キング』のテーマは、“サークル・オブ・ライフ”(生命の環)。1994年のアニメーション版や超実写版の『ライオン・キング』は、父ムファサから息子シンバへと生命が受け継がれていく物語だったが、本作では、ムファサの親の代からシンバの子の代まで、4世代にわたる大きな環が描き出される。過去の出来事を語りながらも、未来へとつながる希望の物語になっているのが特徴だ。

 ディズニーのファンにとって心をくすぐられるのは、『ライオン・キング』のバックストーリー的な要素が満載されていること。ムファサの生い立ちはもちろん、彼がラフィキやザズーといったおなじみの仲間たちといかにして出会い、友情を深めていったのか。いかにして偉大な王になったのか。同時に、動物たちの王国《プライドランド》の歴史も知ることができる。

若き日のラフィキとムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

若き日のラフィキとムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

 とくに興味深いのは、ムファサとタカの関係性。タカはのちにスカーとなるキャラクターだが、兄弟として育ち、幼いころは固い絆で結ばれていたふたりに、いったい何があったのか。『ライオン・キング』のファンなら誰もが抱いたことのある疑問が、本作で解き明かされる。ふたりの関係性がしだいに変化していく過程は、最大の見どころといえるだろう。

 こうしたバックストーリー的な要素によって、キャラクターがより深みを増し、ドラマがいっそう面白くなる。ひいては、『ライオン・キング』の世界全体が輝き出す。それがファンにとってはたまらない。

成長するにつれ関係に変化が訪れるムファサとタカ。『ライオン・キング:ムファサ』より

成長するにつれ関係に変化が訪れるムファサとタカ。『ライオン・キング:ムファサ』より

 さらに、世界観に思い切り没入できる進化したデジタル映像も、本作の大きな魅力。リアルを超えた大自然の美しさと脅威、そしてバリー・ジェンキンス監督がこだわり抜いたというキャラクターの繊細な表情と名演技に、目がくぎ付けになる。

 その動物たちの名演技を声で支えるキャストにも、ご注目を。2019年の超実写版『ライオン・キング』では、歌姫ビヨンセがナラ役をつとめて話題を呼んだけれど、本作で注目を浴びているのは、ビヨンセの愛娘ブルー・アイビー・カーター。ナラとシンバの娘でプライドランドの未来を担うキアラの声を、とびきりキュートに演じている。ビヨンセもナラ役を続投し、母娘共演が実現した。

 超実写プレミアム吹替版では、なんといってもムファサを演じた歌舞伎界のプリンス、尾上右近と、タカを演じたTravis Japanの松田元太の掛け合いが見逃せない。ムファサを狙う冷徹な敵ライオン、キロスを演じた渡辺謙の圧倒的な存在感にも、鳥肌が立つこと間違いなし。

ミュージカルナンバーも秀逸! 物語を彩るこだわりの音楽に耳を傾けて

冷酷な敵ライオン・キロス。『ライオン・キング:ムファサ』より

冷酷な敵ライオン・キロス。『ライオン・キング:ムファサ』より

 『ライオン・キング』の音楽に欠かせないものといえば、大地の鼓動のようなリズムとアフリカンコーラス。本作でも冒頭から力強いコーラスが聞こえてきて、私たちを一気にアフリカのサバンナへと連れていってくれる。

 アニメーション版『ライオン・キング』のサウンドトラックは、今もディズニー史上最多セールスを誇るベストセラー・アルバムで、「サークル・オブ・ライフ」や「愛を感じて」は誰もが知る名曲。にもかかわらず、『ライオン・キング:ムファサ』には使われていない。それはディズニーのミュージカル作品における劇中歌が、あくまで特定のストーリーを語るために作られたものだから。
 本作でムファサのストーリーを語るために、新たな劇中歌を書き下ろしたのは、リン=マニュエル・ミランダ。ディズニーでは『モアナと伝説の海』や『ミラベルと魔法だらけの家』といった作品で知られているが、彼はもともとブロードウェイで名を馳せた天才的なソングライター。それだけに、本作はよりミュージカル色が強くなっている。主なミュージカルナンバーをご紹介しておくと…

♪「遥かなミレーレ」
本作ではムファサの旅路が描かれるが、彼が目指すのは、幼いころ両親から聞いた約束の地《ミレーレ》。それがこの曲で示される。希望に満ちたスケールの大きなバラードで、スクリーンに映る夢のような光景とともに、強く印象に残る。

♪「ブラザー/君みたいな兄弟」
兄弟となったムファサとタカが、その喜びを歌に込めて、ずっと変わらぬ絆を誓い合う。弾むようなポップな曲調にもかかわらず、聞いている私たちは、ふたりを待ち受ける運命をすでに知っているので、ちょっぴり切なくなってしまう。

幼い日の”兄弟”。左からタカ、ムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

幼い日の”兄弟”。左からタカ、ムファサ。『ライオン・キング:ムファサ』より

♪「バイバイ」
キロスがラテンのリズムにのせて歌う悪役ソングだが、なぜか耳について離れない。リン=マニュエル・ミランダが手掛け、2022年に異例の大ヒットとなった「秘密のブルーノ」(『ミラベルと魔法だらけの家』より)にも通じる、クセになる1曲。

♪「聞かせて」
恋に落ちたムファサとサラビがデュエットするこの曲は、アニメーション版の「愛を感じて」に匹敵する美しいラブバラード。超実写プレミアム吹替版でサラビを演じたMARIA-Eの歌唱が圧巻。

 他にもミランダ渾身のすばらしい楽曲がそろっているので、ぜひサウンドトラックもチェックしてほしい。ちなみにアニメーション版で誕生した中から1曲だけ、あの名コンビが歌っていたユニークなナンバーが、替え歌になって登場するシーンがある。何の曲かは観てのお楽しみ!

 『ライオン・キング』の世界に新たな魅力を加えてくれた『ライオン・キング:ムファサ』。この映画を観れば、おなじみのキャラクターたちがより愛おしく感じられるに違いない。そう、スカーでさえも。劇場に足を運ぶ前に、できればアニメーション版か、前作『ライオン・キング』(2019)を見直しておくことを強くおすすめしたい。そのほうがきっと何倍も楽しめるはずだから。
▼『ライオン・キング:ムファサ』キャラクター紹介
  • ムファサ(右):孤児だったが、兄弟となったタカ(のちのスカー)と新天地ミレーレを目指して旅に出る。タカ(左):ライオンの王子。孤児のムファサを群れに受け入れ、ともに旅に出る。のちのスカー。

    ムファサ(右):孤児だったが、兄弟となったタカ(のちのスカー)と新天地ミレーレを目指して旅に出る。タカ(左):ライオンの王子。孤児のムファサを群れに受け入れ、ともに旅に出る。のちのスカー。

  • サラビ:ミレーレへの道中で、ムファサとタカに出会い仲間となる。高貴な血を引くライオンの王女。

    サラビ:ミレーレへの道中で、ムファサとタカに出会い仲間となる。高貴な血を引くライオンの王女。

  • キロス:ムファサに恨みを持つ冷酷な敵ライオン。ミレーレを目指すムファサとタカをつけ狙う。

    キロス:ムファサに恨みを持つ冷酷な敵ライオン。ミレーレを目指すムファサとタカをつけ狙う。

  • ラフィキ:のちに王国の祈祷師となるマンドリル。

    ラフィキ:のちに王国の祈祷師となるマンドリル。

  • プンバァ&ティモン:陽気で力強いイボイノシシとお調子者のミーアキャット。

    プンバァ&ティモン:陽気で力強いイボイノシシとお調子者のミーアキャット。

  • ザズー:のちにムファサの執事となるサイチョウ。

    ザズー:のちにムファサの執事となるサイチョウ。

  • キアラ:ムファサの孫娘でシンバの娘。子ライオン。

    キアラ:ムファサの孫娘でシンバの娘。子ライオン。

>『ライオン・キング:ムファサ』詳しくはコチラ!(外部サイト)
▼『ライオン・キング:ムファサ』INFORMATION
  • 『ライオン・キング:ムファサ』ポスタービジュアル

    『ライオン・キング:ムファサ』ポスタービジュアル

公開日:2024年12月20日(金)
監督:バリー・ジェンキンス
プロデューサー:アデル・ロマンスキー、マーク・セリアク 
製作総指揮:ピーター・トビヤンセン
<超実写プレミアム吹替版>
声優:尾上右近、松田元太(Travis Japan)、MARIA-E、吉原光夫、和音美桜、悠木碧、LiLiCo、賀来賢人、門山葉子、佐藤二朗、亜生(ミキ)、駒谷昌男
原題:Mufasa: The Lion King
うきたひさこ氏

エンターテイメントライター・構成作家 うきたひさこ氏

映画や音楽、ミュージカルなどについて幅広く執筆活動をしているライター/構成作家。とくにディズニー作品の魅力を伝えるのは、ライフワークのひとつ。ライナーノーツを手がけたディズニーのアルバムは50作品以上。月刊誌「ディズニーファン」(講談社)の連載は300回を突破!

(c) 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
Sponsored by ウォルト・ディズニー・ジャパン

メニューを閉じる

 を検索