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ORICON NEWS
30年ぶりに宮崎あおい出演の背景とは 先が読めないコロナ禍のCM制作は難航
「マクドナルドには毎年季節限定の商品がありまして、中でも『てりたま』の春は、出会いや始まりをイメージしたものが多くなっています。昨年のCMは、桜の精が現れて、『今年はみんな見てくれるかな』という問いに、男性が『僕は見ますから』と力強く答える、“この春は、きっと特別だ”と感じられるような、温かなストーリーにしました。CMを通じて “来年も見に来てくれるかな、来年はお花見できるといいよね”というメッセージを込めました」(日本マクドナルドCMO・ズナイデン房子氏/以下同)
「昨年や一昨年はなかなか言えなかった『一緒に食べよう』というメッセージを込め、女性の先輩に若手の男性の社員がちょっとドキドキする、そのワクワク感が、春のときめき感とオーバーラップするストーリーにしました。いつも、まずストーリーがあって、そのストーリーをどなたに演じていただくと一番自然に伝わるかを考えるのですが、先輩で、爽やかで、憧れというイメージで宮崎さんが素敵だと思ったのです」
「お客様を取り巻く環境も価値観も大きく変わりました。今のお客様が何を感じ、何を求めているかを、肌感として感じ取る力、それをクリエイティブなストーリーにどう表現していくかは、スタッフでかなりのディスカッションを重ねました。先が読めないコロナ禍において、企画時とOA時では世の中の状況が異なり、泣く泣くOAできなかった作品もあります」
大野智から始まったビッグタレント起用「商品訴求からストーリーテリング型に」
「若いときには行ったけれど、最近あまり行っていないという30代、40代、50代などのお客様もいらっしゃるのではないか、と。『久々に行ってみようか』と思っていただきたいという狙いから、その世代が共感しやすい方々にご登場いただき、BGMにも『う、ふ、ふ、ふ』とか『銀河鉄道999』『あなた』『SWEET MEMORIES』などの懐かしい曲を選んでいます。実際にそういった世代の方々にも再来店いただいている傾向も見え、CM効果を実感しています」
「2018年に私が前任者からバトンを受け継いだ時、日本マクドナルドは前人未踏の成長を目指していた時期でした。そのために、ブランドとお客様の関係を、より強い結びつきにしていくために、広告コミュニケーションのスタイルも、価格・商品訴求から、ストーリーテリング型に進化させることを意識しました。ファストフード店が乱立し、どこの商品も美味しいことが当たり前の状況では、お客様とブランドのmemorial な絆を作ることが大切だと思っています。そのため、就任してから一貫して「Like からLoveへ」というテーマを掲げて、小さなお子様から、ご年配のお客様まで幅広いお客様に、マクドナルドをより身近で愛着のある、“マクドナルドの代わりはない”と感じて頂けるブランドになることを目指してマーケティング活動を行っています」
ファストフード店乱立に少子化、健康志向… 「コロナ禍が終わったとしても、不可逆」
「ハンバーガーという新しい食事の形態をはじめ、シェイクやポテトなど、こんなに楽しくて美味しい食事や飲み物があるだというイノベーションを起こしたのがマクドナルドだと思うんです。日本の新たな食文化を創造する役割を担ってきて、常に挑戦を続けてきたのが、マクドナルドの50年だと思います」
「コロナ禍が終わったとしても、それが元通りになるわけではなく、やはり不可逆なところはあると思います。そうした中、安全・安心であることはもちろん、価格面でも、安ければ良いのではなく、今後は安いことに加えて何らかの付加価値、ワクワク感や楽しさ、大切な人とのつながりといったことがますます求められると思います」
「銀座1号店に行ったのが青春、という方も多いんですよ。そのお客様の実際のエピソードを再現したのが、宮崎美子さんにご出演いただいた昨年のCMなのですが、お客様の人生の様々な思い出にずっと寄り添っている、身近な友達のようなブランドとして、CMを通して皆さんの人生のシーンを思い出していただけたら嬉しいですね。そして、日本の50代60代の皆さんすごく元気ですから、幅広い世代にもう一度お店に訪れていただきたいなと思います」
(文=田幸和歌子)